さらに時は流れて1746年、当時トプカプ宮殿のハレムに仕えていた宦官長が、カレンデルハネをモスクに改修するためミフラーブ(モスクにおいてメッカの方向を示すもの)やミンバル(説教壇)などを設置しました。6世紀に教会として造られた建物は、この時にモスクに変わったのです。

このように、ローマ時代から現在に至るまで、宗教の違いはあれど人々の信仰の場として存在し続けてきたカレンデルハネ・ジャーミィですが、そもそも誰のために造られた教会だったのかのは長い間謎に包まれたままでした。しかしその謎も、いまから50年前にようやく明かになりました。

1970年代に大規模な修復工事とこの建物に関する研究が行われた際に、漆喰で塗り固められてきた壁面のフレスコ画が発見され、この建物はテオトコス、つまり神の母マリアに捧げられるために造られたということがわかったのです。

カレンデルハネ・ジャーミィを訪れたら、6世紀の建設当初の名残を感じることができる内部の壁面、そして何世紀もあとに追加されたミンバルやミフラーブに注目してみてください。キリスト教文化とイスラム教文化が見事に融合したこの建物の変遷はもちろん、イスタンブールという街が辿った複雑な歴史をきっと肌で感じることができるでしょう。

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名前 カレンデルハネ・ジャーミィ(Kalenderhane Camii)
所在地 Kalenderhane, 16 Mart Şehitleri Cd. No:11, 34134 Fatih/İstanbul

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