以下は、フィスコ客員アナリストの大石哲之(「ビットコイン研究所)」代表、ツイッター@bigstonebtc)が執筆したコメントです。フィスコでは、情報を積極的に発信する個人の方と連携し、より多様な情報を投資家の皆様に向けて発信することに努めております。

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※2020年9月23日に執筆

今週21日、アバランチ(Avalanche)がローンチし、早速各所の取引所で取引が始まり、$5前後と幸先のよい価格をつけている。アバランチは、いわゆるスケーリング問題を解決する、早い・安いという系統の代替チェーンである。こうしたチェーンは過去にもEOSや、TRON、IOSTなど、いくつものチェーンが出ているものの、利用は限定的である。アバランチも、技術的には目新しいものの、こうした代替チェーンのひとつとしてしか見ていなかったが、面白い工夫をしてきた。アバランチは、EVM互換(イーサリアム・ヴァーチャルマシーン)なのである。つまり、イーサリアムで作成したアプリやコントラクトを理論上はそのまま移植することができてしまう。
EVM互換の高速チェーンの先駆けは、バイナンスによるBSC(バイナンス・スマートチェーン)であって、こちらはバイナンス社だけが承認を行う半プライベートチェーンであるが、手数料の安さや、移植性の高さから、いくつかのDefiプロジェクトが即時にたちあがり(バーガースワップ、CREAM)、話題になった。
アバランチにもこうした流れがやってくるか。

EVM互換は今後の代替チェーンのキーワードになりそうだ。私が情報をもっているものとしては、イーサーミント(Ethermint)というCosomos系のチェーンが今秋に立ち上がる予定となっている。スマートコントラクトのチェーンは独自仕様でいくのではなく、ほぼ業界標準となったイーサリアム互換を戦略として、そのシェアを奪いにかかるという構図が展開されるかもしれない。イーサリアムのアプリは本質的にはどのプラットフォームであっても互換性があれば動くわけで、引っ越しも、コピーもほぼ低スイッチングコストで行うことができる。今年の終盤は、イーサリアム互換チェーンの競争も注目していきたい分野である。