wBTCはBTCステーブルコインの一種であり、BTCと価格が連動するERC20のトークンである。イーサリアム基盤のDefi参加者はプールに流動性を提供するためにBTCをそのままの形で利用することはできないため、ETH、ERC20トークン、またはステーブルコイン(DAIや、USDC、USDT)などが必要となる。しかし、含み益を抱えたBTCを売却したくない向きも少なくない。またイーサリアムネットワーク内の各サービスも、BTCという資産を取り込みたいとの思いを持っている。そういったニーズに対応しているのが、イーサリアム上のBTCステーブルコインである。
wBTC、RenBTC、Synthetix BTCなどが代表的なBTCステーブルコインであるが、wBTCのシェアは75%と圧倒的である。9月上旬にDefi全体のTVLが減少した際にも、wBTC のTVLはほとんど影響を受けず、基本的に右肩上がりの増加が続いている。
wBTCはMakerDAOの担保に利用できるため、wBTCを担保にDAIを生成してその他のDeFiでファーミングを行うユーザーが多いと見られる。イーサリアム基盤のDeFiで多用されるステーブルコインDAIを発行するMakerDAOは、2020年3月のETH下落を受けて、DAIの安定性向上のために取り扱う担保資産を増やすことを決定し、wBTCも担保資産に追加された。BinanceでBTCやETHとwBTCを交換して、Curve.Finance、Uniswap、Balancerなどに流動性を提供する流れも見られる。
発行方式は、BitGO社が現物のBTCを預かりwBTCを発行するという「カストディ型」である(準備率は100%)。発行体の信用をもとに発行されるという点ではTetherのUSDTと同様であるが、BitGO社は最大のカストディ企業で、コミュニティ内における信用度は高い。預かり資産とwBTCの発行数は常に公開されており、誰でも確認することができる。ユーザーはマーチャントといわれる提携取引所のCoinlist、FTX.com(Binance)などで交換ができる(交換手数料は0.25%程度)。