WEBシステムとアプリの開発を行なっている、株式会社CORIN(コリン)。2015年に設立され、社員数18名で、その平均年齢は28歳(2021年5月現在)。若いメンバーによって、今、成長期を迎えているCORINの中村聖子代表取締役に同社の事業について聞いた。
CORINの事業ドメインは、「システム開発」「アプリ開発パッケージ」「ライブ配信ビジネスプラットフォーム」「システムエンジニアリング」「デザイン」の5つ。
この中で「アプリ開発パッケージ」で使われているのが、「TENCO(テンコ)」。「ライブ配信ビジネスプラットフォーム」で使われているのが、「LINCO(リンコ)」だ。
TENCOはアプリと管理画面がセットになった、オリジナルアプリが作成できるパッケージシステム。LINCOはライブコマース機能によって、ライブ配信中に商品を販売することなどができるプラットフォームだ。
まずは、TENCOとLINCOについて聞いた。
顧客の事業発展に役立つシステム環境を提供
──TENCOとLINCOは、CORINの事業の中でどういう位置づけなのでしょうか?
中村 「お客様の要望をかなえるベース」です。本来であれば、パッケージ製品なのでカスタマイズせずに安価に横展開していくほうが、利益率が高く、作業の平準化もはかりやすいんです。
ですが、汎用性を考慮したパッケージをベースに、お客様向けにがっつりと手を入れて納品していく今のスタイルが弊社には合っているようで、そういった意味で、ベースと表現しています。
時代に合わせて、汎用性のあるパッケージ製品を増やしていき、そのベースをもとにお客様の事業発展に役立つシステム環境をご提供することが、弊社のミッションと考えています。
近々リリースするLINCOは、ライブコマースのパッケージです。デジタルな世の中ですが、私は、スマホでポチるより販売員さんと雑談をしながらショッピングをするほうが好きです。
「人から商品を購入している」という原点とデジタルシフトを掛け合わせ、コロナという問題に直面した1年前から構想を練って実現しました。このベースを活用して対企業様、そしてその先にいるお客様の役に立っていきたいと考えています。
TENCOはCMSつきのアプリパッケージです。こちらも、DX化のニーズの高まりを踏まえ、企業様とその先のお客様の繋がりを深めるべく、さらなるサービス強化をしていきたいと考えています。
──そうした事業を手がけるCORINの強みは何でしょうか?
中村 「お客様に寄り添った思考力」だと考えています。弊社は営業が、私中村しかいないため営業力が弱く、ほぼご紹介からの案件なのですが、受注率は高いです。
その理由としては、よくあるシステム会社のように、ただただ人月工数を提示するのではなく、ヒアリングを行い、機能や業務を把握した上で、お客様に仕様を提案して納得いく方向性を選んでいただくようにしているからだと思います。
例えば、「この画面とこの画面をまとめたほうが開発工数を抑えられる」「この処理は開発すると工数があがるので、こんなサードパーティーを使ってはどうか」「サーバーレスで実装した方が、監視サービスを含めランニングの工数が圧縮できるので、圧縮したコストで、こんなサービスを盛り込んではどうか」などとご提案しています。
提案段階から社内のエンジニアで思考して、「なるほど、それいいね」と言ってもらえるご提案をするように心がけています。
要件定義、開発、保守、追加改修、すべてのフェーズにおいて、お客様の「なるほど、それいいね」が弊社サービスの強みと自負しております。
このような強みを活かしたサービスが展開できているのは、お客様のお陰です。弊社は、ほぼ100%が、お客様との直接取引ですので、日々の仕事の中でお客様によって鍛えられているのです。
弊社メンバーは思考することを楽しめるメンバーが集まっているため、その相乗効果で年々、強みをパワーアップできていると思います。
──今後手がけたい新サービスなどがあれば、教えてください。
中村 LINCOの付加機能になるのですが、MRグラスをかけ、目の前に人物やモノを3次元的に映し出し、オンラインでやりとりをしながら消費活動ができるサービスを完成させたいです。
例えば、アパレルを例にとると、自宅でMRグラスをかけると販売員さんと商品が3Dで目の前に現れ、リアルタイムでコミュニケーションを取りながら、商品を購入するといった内容になります。これは、ヨガやゴルフレッスンなど、幅広い業種に活用できると考えています。
祖父母と両親から学んだ、経営者としての強さ
──中村さんのご祖父母とご両親もビジネスを手がけていたとお聞きしました。ご祖父母やご両親からビジネスについて学んだことはありますか?
中村 私が女性なのと、昔はいわゆるギャルという部類だったため、特に厳格に指導された記憶はないです。
ただし、振り返ってみると、祖父母からは「知恵」を、両親からは「振り切った決断力」を学んだと思います。
祖父母は、銭湯やマンション等を経営しておりました。銭湯なので町内会の付き合いがあり、家には番頭さんがいたり入浴にくる近所の方がいたりと、いつも賑わっていました。
来客があり、お茶を出した際に、叱られたことがあります。お客様のお茶の量が祖父母に出したお茶より少なかったからです。
このとき、少し大げさではありますが、「たとえ、明日自分の分しか食べる食材がなくても、お客様や身近に働いてくれている人にそのすべてをふるまうように」と言われました。
また、別のときに私がつらくて泣いていると、「つらい時は笑い、うれしい時は渋い顔をしろ」と言われました。会社を経営し、社員を雇う立場の今、人間的な強さに繋がる知恵を日常で教えてくれていたのかと思います。
両親に関しては、ゴルフ場の設計施工の仕事なので、まったく私の仕事と関連がないのですが、会社や仕事のことで、日常のなにげない時にポロッと相談をすると、いつも振り切った答えが返ってきます。
たとえば、「利益率がよい事業でも、自分の心が疲弊すると考えるなら、すぐに手を引いたほうがよい。他の社員にも派生し後に悪影響を与えるから」と言われたことがあります。
彼氏と別れる際も、「いい時にいい人なのは、当たり前。そうでないと、好きにならないから。悪い時にこそ、人間性がでる。悪い時に最悪ならその人はそういう人だから、期待せず今すぐ別れるべき」とも言われました。
女性経営者ならではのつらいことや悔しいことをバネに変えられる、また社員を守っていける強さを学んだと思います。
──最後に、今後の目標を教えてください。
中村 社員が誇れる会社を作っていくことです。誇れる会社で、個々がスマートに楽しく「よい仕事」をすることで、サービスの底上げができ、社会貢献につながると考えるからです。