米大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースは、暗号資産貸付サービス「CoinbaseLendプログラム」の提供を中止することを9月17日に発表した。

ブログによると、今回の決定について、「暗号業界全体の規制の明確化に向けた取り組みを続ける中で、CoinbaseLendプログラムの開始を見送るという難しい決断を下した。」と述べている。同サービスにはすでに「全国の数十万人の顧客」が登録していたという。

CoinbaseLendプログラムは、ユーザーのUSDコイン(USDC)を「認証済みの借り手」に貸し出すことで、ユーザーに年利4%の利回りを提供するサービスである。今月8日に、米SEC(証券取引委員会)が「CoinbaseLendプログラム」に対して、「Wells Notice(ウェルズ通知)」を発行したとブログで述べていた。コインベースは、半年近く前から同サービスについて積極的にSECと対話を行っており、同サービスのローンチを少なくとも10月まで延期するとしていたが、今回サービスの提供を断念することになったようだ。

今回のコインベースのサービス提供の中止に限らず、SECの暗号市産業界に対する規制の動きが活発になってきているようだ。ニューヨークで開催された暗号資産カンファレンス「Mainnet 2021」で、SECが複数の企業に対してイベント中に規制に関する警告を行う場面をイベント参加者が目撃したと、一部メディアで報じられている。

また、投資家擁護団体が「ステーブルコインの準備金に対する懸念やレンディングサービス、取引所について、多くの暗号資産プロジェクトは投資家保護規則に違反しており、もっと精査されるべきである。」と、SECのゲイリー・ゲンスラー委員長に伝えていることも、ブルームバーグが21日に報じている。SECは、すでにいくつかの暗号資産商品に対して警告を発しているようで、今後もSECの規制強化の動きには注目が集まりそうだ。