ディーカレットホールディングスは傘下で暗号資産(仮想通貨)事業を手掛けるディーカレットを香港のスタートアップ企業であるアンバー・グループに売却する方針を固めた、と13日付の日本経済新聞が報じた。
ディーカレットは19年4月から仮想通貨交換業者としてビットコインなど仮想通貨の取引サービスを提供し、ビットコインマイニング機器の販売や運用サービス事業なども行ってきた。ただ、暗号資産業界への参入が遅く、ビットフライヤーやコインチェックなどもとより有名な大手交換業者との競争に対抗しきれなかった可能性があるという。一方、アンバー・グループは個人や機関投資家向けに仮想通貨取引サービスを提供しており、企業価値は1000億円を超えているようだ。今回の売却額は数億円程度とみられるという。
株式会社ディーカレットは、2021年12月27日に株式移転により株式会社ディーカレットホールディングスを設立し、その完全子会社となり、持ち株会社体制へ移行したことを発表していた。併せて、2022年2月1日に、株式会社ディーカレットから株式会社ディーカレットDCPへ吸収分割によるデジタル通貨事業の承継を行うと明らかにしていた。
ディーカレットHDの株主は現在35社で、インターネットイニシアチブやKDDI、三井住友銀行、伊藤忠商事などの大手上場企業となっている。報道によると、ディーカレットHDは仮想通貨事業の売却後にデジタル通貨「DCJPY」事業に専念するようだ。74の企業・銀行・自治体・団体が参加する「デジタル通貨フォーラム」がDCJPYの2022年度中の実用化を目指し、ディーカレットが事務局を務めている。DCJPYは円建てのデジタル通貨として設計されており、当面は銀行が発行主体となることが想定されている。
ディーカレットHDは14日、今回の報道に対して「当社が発表したものではなく、現時点で最終的な機関決定はなされておりません。」と発表している。