内子の町並みは、しっとりと落ち着いていると同時にエレガント。浅黄色の漆喰で塗り込められた大壁や「懸魚(げぎょ)」と呼ばれる屋根の妻部分に施された装飾、「鏝絵(こてえ)」と呼ばれる漆喰を塗る鏝の技術で描かれるレリーフ状の意匠など、内子特有の建築様式や装飾が街並みを彩り、歩いていてまったく飽きることがありません。
内子の一番の魅力は、江戸~明治の情緒香る町並みがそのまま残されていながら、まったく「テーマパーク化」していないこと。
重要伝統的建造物群保存地区のなかには、あまりにも有名になりすぎたために、観光客が多すぎたり、その土地とは関係のない雑貨を扱うショップが増えたりして、本来の情緒が損なわれている場所があるのも事実です。
ところが、内子町にはそんなところが一切ありません。
もちろん古民家を改装したカフェやレストランもありますし、地域の名産品などを扱うショップもあります。しかし、どのお店も内子本来の雰囲気を壊すことなく、美しく町に溶け込んでいるのです。
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