これほどの町並みを残しながら、過度に観光地化されたりテーマパーク化されたりすることなく、数百年間も時が止まったままのような雰囲気を守り続けている内子町。

その素朴ながらも高貴なたたずまいに胸を打たれ、カメラのシャッターが止まらなくなりました。

なかでも目を引くのが、重要文化財にも登録されている本芳我家住宅と上芳我邸の並び。芳我家は、内子の木蝋生産の基礎を築いた家で、本家が「本芳我家」、分家は「上芳我家」と通称されています。

懸魚、鏝絵、なまこ壁、出格子など、贅を尽くした意匠で装飾された2軒の家は、まさに内子の町並みの象徴。かつての繁栄ぶりが手に取るように感じられ、繊細で優美な装飾はいつまでも眺めていたくなるほどです。

上芳我邸は木蝋資料館として公開されており、当時の生活の様子を再現した展示や、貴重な木蝋生産の工程の紹介は必見です。

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