北海道猿払村(さるふつむら)の猿払村役場にて12月14日(水)に「HOTAMET/ホタメット」プロジェクト発表会が開催された。HOTAMETとは、廃棄されるホタテの貝殻を再利用したヘルメットである。
発表会には、まず猿払村の伊藤浩一村長が登壇して、HOTAMETが生まれた経緯を紹介した。猿払村はホタテの水揚げ量日本一に何度も輝いた国内有数のホタテ生産地だが、その一方で年間約4万トンも廃棄される貝殻の使いみちを模索していた。廃棄ホタテ貝殻の有効活用が村の課題だったのだ。
そうした状況を知った甲子化学工業株式会社から「廃棄されるホタテの貝殻を原料にしたプロダクトを一緒に作りたい」とアプローチされたことで、共に廃棄ホタテ貝殻の再利用に取り組むことになったという。そうして生まれたのが、HOTAMETなのだ。
通常のプラスチックよりも強度が向上
続いて、甲子化学工業企画開発部の南原徹也氏が登壇した。甲子化学工業は1969年創業の大阪のプラスチックメーカー。以前から持続可能な社会の実現のため廃棄物の再利用に取り組んでいた同社は、ホタテの貝殻の主成分が炭酸カルシウムであることに着目したという。
炭酸カルシウムを素材に使うと強度を上げられることが分かっていたため、甲子化学工業は廃棄ホタテ貝殻を材料にした新素材の開発に取り組んだ。猿払村から無償で提供された廃棄ホタテ貝殻をもとに新素材「カラスチック」を作り上げた。
カラスチックはホタテ貝殻と廃プラスチックを組み合わせた、オールごみ由来の新素材。新品プラスチックとくらべて約36%のCO2を削減できるだけでなく、強度となる曲げ弾性率は通常のプラスチックより約33%向上した。つまり、環境に優しいだけでなく、品質もすぐれた素材が生まれたのだ。
貝殻が本来身を守るものであることから、カラスチックを使って頭を守るヘルメット=HOTAMETを製作。「ホタテ漁は危険と隣り合わせなので、ホタテ漁師の安全を守りたい」という着眼点から、ホタテ漁師が身につけるヘルメットを作ることになったのだ。
一般販売も行ない、ふるさと納税の返礼品にも
HOTAMETはその表面にホタテの貝殻を思わせるラインが入っている。このラインはデザイン的におしゃれなだけではない。貝殻を模倣したリブ構造を取り入れたことで、ヘルメットに力を加えたときの耐久性が約30%向上しているのだ。
HOTAMETを漁師の方々に使ってほしいとのことで、発表会の中で猿払村漁業共同組合へのHOTAMETの贈呈も行なわれた。
また、防災用品としての備蓄や一般販売も行なわれる他、ふるさと納税への返礼品としても活用されるという。ふるさと納税の返礼品になるということで、猿払村のふるさと納税大使の長州力さんのビデオメッセージも公開された。
HOTAMETをかぶって登場した長州さんは「どうですか? 似合ってますか? ホタテにそっくりでしょう? 貝殻のように皆さんの頭をきっと守ってくれますよ」と、その魅力をアピール。応援メッセージを「かぶってみな! 守るぞ!」と得意のフレーズで締めくくった。
HOTAMETの一般販売は、2023年3月末より開始する予定。同じタイミングで、ふるさと納税の返礼品に加わることになるという。価格は4800円。カラーはオーシャンブルーなど海由来のもので、全5色。本発売に先駆けて、「応援購入サイトMakuake」(http://www.makuake.com/project/hotamet/)での先行予約発売を12月14日(水)から開始している。