パナソニック株式会社は2月中旬に、食器洗い乾燥機の新製品である、パーソナル食洗機「SOLOTA」を発売する。パナソニックは1960年に国産初の「電気自動皿洗機」を発売した食洗機のパイオニアだが、若年層&単身世帯をターゲットとした、まったく新しい食洗機を生み出したのだ。
2月15日(水)、東京都内にてパナソニックはSOLOTAに関する体験セミナーをマスメディア向けに実施した。セミナーでは、食洗機には「家事負担の軽減」と「地球環境への貢献」という2点において、大きな価値を生み出すと説明された。
家事負担の軽減という点では、1回の食器洗いで約15分の時短が可能となり、1年を通して約180時間の時間を作り出すことができる。地球環境への貢献という点では、パナソニックの2021年度の食洗機の販売台数から算出すると、約21個の25mプールの水量が節水できているという。
こうしたメリットのある食洗機だが、賃貸住宅に暮らす単身世帯の若年層には食洗機を使うという発想自体が存在しない。だが、そうした若年層にも食洗機に対する隠れたニーズが存在するというのがパナソニックの考えだった。
中食(コンビニなどで購入した調理済み食品を自宅で食べること)メインの単身世代でも、食器洗いの家事は発生する。そして、若年層が洗い物に大きなストレスを感じていることが、調査で明らかになったのだ。
中食メインの食生活でも食洗機は活躍する
隠れたニーズはあるものの、食洗機が遠い存在となっている若年層にアピールするためにパナソニックが作り出したのが、SOLOTAだ。今回のセミナーにおいてSOLOTAの開発プロジェクトメンバーによるトークセッションも行なわれ、開発秘話が明かされた。
開発プロジェクトはターゲット層と同世代のメンバーが中心となり、メンバー自身の食事の写真を持ち寄って語り合うこともあったという。その中で、「中食メインでも食洗機という存在はユーザーに響くのではないか」という仮説が出され、ターゲット層が普段の食事でメインで使う“スタメン食器”をしっかり洗える食洗機を作るという方針が固まったという。
ご飯茶碗、汁椀、大皿または中皿、深中鉢、マグカップ・グラス、小皿などの“スタメン食器”、さらには高さ21cm以下のマイボトルも洗えるサイズとなった。
狭いキッチンでも場所を取らないサイズにするため、すべての部品を小型化し、なおかつ洗浄力もしっかりしたものにするという難易度の高い開発を進めた。デザイン面においても前面と後面に透明な窓を設けることで、抜け感を作って物量感を与えないものに仕上げていったという。
設置も簡単で買った日から使える
今回のセミナーでは、実際に洗い物をすることも見られた。食器をピッタリとくっつけて配置するといった“ミス”さえしなければ、しっかりと食器の汚れが落とせるとのことだった。
デザイン面では“洗える食器棚”を目指したとのことだが、実際、洗い終わった後の食器はそのまま食洗機の中に置いたままにして、次に使うときに取り出すという、ちょっとズボラな使い方でも、まったく問題はないと感じた。
そのほか、従来の食洗機のように分岐水栓を使用したタイプと違い、給水はタンク式で行なうので取り付けも簡単。買ったその日から使えるという点も大きなメリットだ。
これまで食洗機が視野に入っていなかったターゲット層の需要を創造するため、パナソニックでは月額税込1290円でのサブスクリプション型サービスを実施するほか、ターゲット層がよく使うマイボトルを扱っているサーモスの直営店「THERMOS STYLING STORE」4店舗で実演展示も行なう予定だという。