国境なき医師団(MSF)は、中東のイスラエルとパレスチナ・ガザ地区での衝突の激化を受け、全ての紛争当事者に対し「無差別攻撃の即時停止」「医療の保護」「人道性の回復」を求めて10月24日(火)よりオンライン署名活動を開始します。集めた署名は日本政府へと提出します。
イスラエルとパレスチナ・ガザ地区で10月7日に激化した衝突では、6400人以上が亡くなっています。ガザ地区に今も残っているMSFのスタッフからは、医薬品や医療物資が足りず病院が機能しない状況や、空爆などの影響で医療を必要とする人が病院までたどり着くことができず、救急車も稼働できない状況、そして、水や電気、食料、燃料の不足が報告されており、MSFはガザ地区における人道的状況を非常に憂慮しています。
日本政府は今年、G7の議長国であり、国連安全保障理事会で非常任理事国を務めています。皆さまの声を日本政府に届け、事態の早期沈静化およびガザ地区の人道状況の改善の必要性を国際社会に訴える取り組みの後押しにご協力ください。
■オンライン署名キャンペーン概要
イスラエル・パレスチナでの暴力の即時停止と医療の保護、人道性の回復を/国境なき医師団
MSFは、すべての紛争当事者に以下の点を緊急に強く要請します。
●無差別攻撃の即時停止
・一般市民に対する無差別な空爆・攻撃と「集団的懲罰」の即時中止
●医療の保護
・国際人道法の順守:医療施設、医療従事者を攻撃しない。安全な患者搬送の保証
●人道性の回復
・一般市民の安全な空間・移動の確保、および食料、水、医療へのアクセスの確保
・「完全封鎖」の解除:ガザ地区への医薬品、医療機器、食料、燃料、水など、人命を救うために必要な量の人道援助物資の搬入、および医療・人道援助従事者の緊急避難と入境許可
・出国を希望する者は、帰還の権利を害されることなく安全に出国できなければならず、そのためには、検問所付近への空爆を行わないこと
この度のイスラエルとパレスチナ・ガザ地区での衝突、人道状況の悪化に対し、日本政府が、「無差別攻撃の停止」、「医療の保護」、「人道性の回復」に向け、引き続き尽力されることを求めます。 また、イスラエル・パレスチナ以外の世界の人道危機に対しても、日本政府が同様の点で、尽力されることを強く希望します。
期間:2023年10月24日(火)12:00~2023年11月6日(月)12:00
※状況に応じて署名期間の締め切りは変更になる可能性があります。
提出先:日本政府
署名受付:https://www.msf.or.jp/about/information/detail/20231024.html
主催:特定非営利活動法人 国境なき医師団日本
お問い合わせ:event@tokyo.msf.org
<国境なき医師団日本 村田慎二郎事務局長より>
ガザ地区では約300人の国境なき医師団のスタッフが活動してきました。日本人も3人います。今、膨大な援助のニーズがあるにもかかわらず、広範囲に及ぶ爆撃が続き、安全の確保は不可能で、人道援助物資の搬入も不十分なため、私たちはほとんどの活動を中断せざるを得ない状況になっています。医療・人道援助団体として、国境なき医師団はもっと多くのことを行いたい。しかし今、それができなくなっているのです。
医療スタッフへの攻撃は、それ自体が非難されるべきものですが、それに加えて紛争地での医療への攻撃というのは、その医療施設を命綱にしている現地の何千人、何万人という人たちから医療へのアクセスを奪う行為です。それにより、助かるはずの命、救えるはずの命が救えなくなるという状況を、シリアやイエメンその他のところで、私たちは目撃してきました。ガザで同じようなことが起きていることに、強い憤りを感じています。こういった状態が、早く改善されるように国境なき医師団は求めてまいりますので、どうか皆さまのお力を貸してください。
※国境なき医師団について
民間で非営利の医療・人道援助団体。紛争地や自然災害の被災地、貧困地域などで危機に瀕する人びとに、独立・中立・公平な立場で緊急医療援助活動を届けている。現在、世界75の国と地域で、医師や看護師をはじめ4万9000人のスタッフが活動(2022年実績)。1971年にフランスで設立、1999年にはノーベル平和賞を受賞。