こうした展示に触れることで、食が土地の歴史や暮らしと強く結びついていることが実感できます。
発酵食は、単なる郷土料理ではありません。その土地に生きる人々の工夫と知恵、そして暮らしの記憶そのものなのです。
●東海の“うまみ”は、にぎやかで奥深い
展示の後半では、「東海の発酵」をテーマに、東海三県の調味料や郷土食が紹介されています。
白醤油やみりん、たまり醤油、八丁味噌といった定番の発酵調味料に加え、岐阜・郡上地域の「味噌煮」や三重・伊賀の「養肝漬」、愛知・篠島の「じゅうじゅう味噌」など、地元の人でもなかなか知らない発酵食が多数登場。
展示空間は、うまみ神の巨大タペストリーや、本物の木桶を使った演出など、どこを見てもフォトジェニックで、まるで“うまみの神殿”のよう。調味料の裏にある歴史、たとえば戦国武将の好みが現在の味噌の地域差をつくったというエピソードなども紹介されており、歴史好きの方も楽しめる内容です。