高度経済成長期に建設ラッシュに沸いた高層ビルの老朽化が進んでいる。今後、解体件数の増加が見込まれるが、それに伴い、解体現場で起きる事故件数増加のリスクも高まっている。

建物解体工事の運営や工法を開発している埼玉県三郷市に本社を構える株式会社TOBIHIROの代表取締役社長である小林浩二氏は、解体現場では、常に廃材の飛散リスクを抱えていると語る。

現場では、ボルト、コンクリートの破片、鉄くずなど、さまざまな廃材が発生する。重機で建物を粉砕する工程では、現場の外に廃材が飛び出すリスクが特に高まる。

仮に、100グラムのボルトが10階建てのビルの高さから落下した場合、時速100キロメートルの早さで地面に直撃するといい、一般の通行人の命を脅かす、重大な事故につながるおそれがある。

そうしたリスクを防ぐためにTOBIHIROが開発し、特許を取得したのが、屋上全面飛散防止養生システムの『Cage System(ケージシステム)』だという。解体現場をアルミ製のケージと飛散防止ネットでカバーして、廃材の飛散を防ぐシステムだ。すでに大手デベロッパーやゼネコン数社が、安全対策のために同システムを導入しているという。

『Cage System』の応援隊長には、筋肉タレントのなかやまきんに君が就任。7月15日には、応援隊長就任発表会に登壇し、解体工事の際の安全の啓発を行った。

発表会では、『Cage System』に覆われた特殊な装置を用いて、高層ビルからボルトが落下する速度が再現された。ヘルメットを吹き飛ばす衝撃と轟音を目の当りにして、なかやまきんに君は、驚愕、無事に特殊な養生ネットがボルトをキャッチしたことで、安堵の表情を見せた。

「お笑いは、“スベる”危険と常にとなりあわせ。僕の場合は、スベっても、最後に(一発ギャクの)“パワー”と言っておけば、安心。『Cage System』は、僕にとっての“パワー”のようなもの」と語った。

TOBIHIROの小林氏は、『Cage System』について、「これがあれば“安心”と思ってもらえる、安全の象徴にしていきたい。解体現場の安全のレベルを引き上げ、その中心にたてるよう、挑戦を続けていきます」と意気込みを語った。