年間を通じて14~15℃を保つ硬度50程の良質な中軟水を地下150メートルの自社井戸から汲み上げ、街中にある製造蔵で仕込んでいるのは、水のまち大垣ならでは。湧水のベースになるのは木曽川の伏流水ですが、地下深くから汲み上げているため、木曽三川(濃尾平野を流れる木曽川、長良川、揖斐川の3つの川の総称)の水が絶妙に混ざり合っているといいます。
水の硬度により酒の味が変わることはよく知られていますが、中軟水で醸造する武内酒造のお酒は柔らかく滑らかな味わいが特徴です。
日本酒は醪(もろみ)の搾り方でも味が変わります。両側から圧力を加えてしっかりと搾る「ヤブタ式」と呼ばれる自動圧搾機を使った方法が代表的ですが、現在武内酒造では、「槽搾り(ふねしぼり)」と「袋吊り」で日本酒を搾っています。
手間がかかるうえ、とれる量はヤブタ式に比べると若干減ってしまいますが、優しく搾ることでお酒にストレスをかけず、雑味が出ないので、純米大吟醸などの繊細な日本酒を造るのには特に向いているのだとか。
槽搾りの場合、酒粕にはお酒がかなり残っているので、顔を近づけるとふわっとよい香りが広がります。タイミングがあえば、酒粕は店頭で購入可能ですが、ファンの方も多いので毎年売り切れることも。
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