2026年7月27日、「夢見ヶ崎プロジェクト 発足記者発表会」が開催され、川崎市内の未利用資源を収益源に転換する「地域循環モデル」の実証実験開始が発表された。
その舞台となるのは川崎市。JR横須賀線新川崎駅から徒歩で15分ほどに立地する「夢見ヶ崎動物公園」を起点に循環し始めたプロジェクトだ。
夢見ヶ崎動物公園は川崎市が運営する入場料無料の地域密着型の小動物園だ。この地に夢見ヶ崎公園が開設されたのは戦後間もない1950年(昭和25年)。1972年には動物コーナーを設置し、1974年に「夢見ヶ崎動物公園」の名称となった。
飼育・展示されている動物は51種、約280点。年間来場者数は10万人から20万人を数える。入園料も、駐車場も無料だ。標高35メートルの通称「加瀬山」と呼ばれる小高い丘には他に寺と神社、古墳群などもあり、木々に囲まれた落ち着いた林になっていて、地域住民の憩いの場になっている。
今回の「地域循環モデル」の最初の起点となるのが、動物公園で発生する残さ(動物のえさの切り捨て部分)や糞尿だ。まずはこれを堆肥化する。それを活用して、園内もしくは近郊で農作物を栽培し、さらにオリジナル商品を開発・販売。その収益の一部を動物公園に還元するという循環モデルが機能していくという。
川崎市と三菱化工機は、川崎市におけるサーキュラーエコノミー型産業の振興と発展、さらには資源及びエネルギー循環を通じて都市イメージの向上とシビックプライドを醸成することを目的に「循環型社会の実現に関する連携協定」を2026年6月15日に締結。
その具体的取り組みの第一弾として、夢見ヶ崎動物公園を中心とした地域との共創による地域循環モデル構築の実証実験が開始されることとなったのだ。
園内には残さを堆肥化するためのコンポストが設置されている。現段階で毎日発生する12㎏の残さのうち2㎏を堆肥化しており、今後その量を増やす計画だ。川崎市の幸区日吉出張所ではその堆肥を利用して、ビールの原料のひとつであるホップの栽培が始まった。また北加瀬こども文化センター、コミュニティファームVOVO(NPO法人あかね)ではレモングラス、ヨモギ、藍などの農作物も栽培されている。
それら収穫された農作物は商品化パートナーにより商品として販売される。現状参入が発表されているのは、川崎のソウルフードともいわれるニュータンタンメンを提供する中華麺店、大正2年創業の老舗和菓子店、東海道川崎宿跡にあるクラフトビールの醸造所の3社。開発された商品は、11月1日に開催される川崎市の地域共生イベント「Colors, Future! Summit」で販売される予定だ。そして、関連商品の収益の一部は動物園に還元され、発生する残さの堆肥化へと循環していく。
さて、夢見ヶ崎動物公園のフラミンゴだが、その色の鮮やかさには目を奪われる。各地の動物園からの評価も高いという。これはペレットに加工された餌だけでなく、新鮮な野菜やオキアミを使っているからだそうだ。
ペンギンの羽が生え変わるこの時期、そのためのエネルギーを得るためにペンギンたちの食欲は旺盛になる。新鮮な鯵のひれなどの不可食部分が残さになる。
レッサーパンダもパンダだけあって笹を食べるのだそうだ。葉を取り除いた枝部分は残さとして今後使うことが検討されているという。新鮮な笹を食べやすく加工したものが与えられている。
循環型経済の一部を担うことにより動物園が収入を得て、その結果動物たちのよりよい生活に役立つのであれば、これは動物参加型の循環型経済と言えるかもしれない。
今年11月からはこのプログラムの第2期が開始される。糞尿や剪定枝などの利活用が検討・調整され、新規農作物の植え付けと栽培が始まり、新規オリジナル商品の検討・交渉が計画されている。