■人の食い扶持を潰したら自分の食い扶持も潰される

──ノストラダムスの大予言を信じてたせいで(笑)。

増子 そう、あれのせいでいろいろ狂ったからね。さんざん好きにやってきたの、もう終わりだろと思って。

──借金しようが何しようが大丈夫だと思ってたら。

増子 そう、33歳ぐらいだったから、ちょうど終わるだろうなと思ったら終わんないの。33からの余生ってけっこうすごいよね。ここからどうすんだろ、みたいな。取り返しつかないじゃん!

──いまさらまともな道に戻るっていうのも。

増子 そうそうそう。どうしようかなと思ってね。まあ、やれることと楽しいこと全部やろうかなと思って。そのぐらいだもんね。あとは特に何も考えちゃいないよ。

──そこで方向性が変わったから、どんなに物騒な話をしてもポップになるキャラクターになったんじゃないかって気がします。

増子 そうだね。基本、暴力は誰しもの隣にあるものだから。ホント、猛獣が放し飼いにされてるようなもんだよ、社会っていうのは。

──それに気づかない人が多いじゃないですか。

増子 そう。だから何を言ってるのかなって思うね。大人になるっていうか、社会に適合していくっていうか、ある程度譲ったりできる部分も大人になってどんどん増えていくじゃん。できれば優しくなりたいんだよね、人に対して。昔よりは許容範囲はすごい広がったと思うけど、いまだにダメだなって思うことも多々あるからね。

──スイッチが入ることはある。

増子 あるね。一昨年だっけ、一昨年っていったら49歳だからね。いつも行ってる焼肉屋で……。

スタッフ それ去年です。

──ダハハハハ! 50歳じゃないですか!

増子 去年か。嫁さんと焼肉を食ってたんだけど、話ができないぐらいうるさいの。学生みたいなのとオバチャンたちが宴会で酔っ払っちゃって。それ1時間半我慢したの。ちょっとずつそっち見たりしてるから、わかるだろうと思って。でも、ぜんぜんお構いなしで、そういうのわかってないんだよ。YouTuberにしてもそうじゃない、テキ屋のクジのヤツを暴いたりなんかしてるんでしょ? あれができるのってすげえなと思って。

──お祭りのくじ引きに当たりが入ってないんじゃないかってテキ屋に喧嘩を売ってる人がいましたけど、世の中には本当に怖い人がいるっていう発想がないんでしょうね。

増子 知らないよね。そうやって人の食い扶持を潰したら、自分の食い扶持も潰されるよ。それがわかってないじゃん。いま変にクリーンになってるからそういう部分をわかってないじゃん。だから、その焼肉屋でもずっと待ってたんだけどあまりにもうるさくて。俺もよく言われるんだけど、最初からトップギアでいっちゃいけないんだよね。俺のなかでは段階踏んでるけど、向こうからしたら急にトップギア入ってるからね。茶碗をぶん投げて「いい加減にしろ!」っつって。

──テレビで見たことある人が(笑)。

増子 嫁さんが「すごい口からお米を飛ばしてたよ」って。すごい怒っちゃったね。ただ、ぶん殴ったりはしないから。さすがに俺も大人だから。前だったらいってたかもしれないけど。こんなとこに焼肉の網なんてあったら、昔だったら再利用ですよ。

──ジャッキー・チェンばりに(笑)。

増子 いい具合に焼いてあるから(笑)。まあ、最初は向こうも酔っ払ってさんざん悪態ついてたんだけど、「いい加減にしろ!」って言ったら、結局は向こうも謝ってきてさ。店のお母さんも、「ホントに私が注意すればよかったのにすみません」って、割引券を渡されて帰らされちゃって。しまいには反対側にいたカップルに「……っていうか増子さんですよね?」みたいに言われて。

──やっぱりバレてた(笑)。

増子 「ホントすみません。ちょっと怒りすぎちゃったかなー」なんつって。そしたらもうひとり、別の席のサラリーマンが「お兄さんがいかなかったら俺がいってましたよ」って、漫画かよと思ってさ。「おまえ先に行けや!」なんつって(笑)。

──でも、そうやって平和な着地ができるぐらいにはなって。

増子 そうだね。ただ、よく行ってる焼肉屋に行きづらくなったっていう恐ろしい状況があるけど(笑)。

──その割引券も使いづらいですよね。

増子 特に使いづらい! だけど、そういうギリギリのところがおもしろかったりする、そのギリギリのラインがぜんぜんわかってない世代が多いっつうか、あれなんなんだろうね? 先輩とかで怖い人いなかったのかな?

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