食堂車と言っても、インスタント食品を温めるか、お菓子やドリンクを買うだけの簡単なものだった。餃子とコカ・コーラを買う。 食べているとガイドに「美味しいですか?」と聞かれた。普通だったので「まあ美味しいですよ」と答えると、ガイドは楽しそうに笑う。
「高速鉄道のご飯、高くて不味いって有名です。中国人あまり買わない」
そういうことは買う前に言って欲しいものだ。
車窓から見える風景は、地域によってかなり差があった。柳州のあたりでは近未来のようなビル群が見えたし、100年以上前からあるのであろう古い村もあった。
中でも一番驚いたのは、とある駅で停車した時、対面の線路にズラーッと戦車が並んでいるのを発見した時だ。様々な車両が、シートもかけられず、むき出しで乗っている。
ホームにいる人は気にも止めていなかったので、さほど珍しいことではないのかもしれない。知らない国の車窓は飽きない。
朝の07時46分に桂林を出発した高速鉄道は、お昼頃に玉林に到着した。外に出ると、強烈な日差しに出迎えられた。緯度で言えば、沖縄よりも南なのだ。僕は帽子をかぶって街に出た。