大阪北部地震(6月18日)をめぐり、オールドメディアの”特権意識”があらわになる事件が続出している。NHKが無許可で大阪府内の学校生徒らを撮影しようとしたり、亡くなった女児の同級生にも無配慮な取材をしていたことは当サイトでも既報の通り。今度はフジテレビとTBSが一般人のSNS画像を勝手に拝借しようとしたことが明らかになり、ネット上で物議を呼んでいる。
同地震のあった直後、兵庫県在住のてゐさん(@TewitoReisen)は居合わせた大阪・茨木市のネットカフェから散乱したマンガ棚の様子をTwitterに投稿した。揺れの激しさを思わせる写真で多くの注目が集まっていたのだが、フジテレビ報道局からいきなりこんなリプライが届いたという。
フジテレビ報道局です。おけがはありませんでしょうか? 今回の地震の状況を伝える目的で、てゐ 6.16〜6.18おーさか様の写真を放送に使用させていただきます。許諾が前後し大変申し訳ございません。落ち着いたところでDMでご連絡いただければ幸いです。よろしくお願いします。
えぇ....
— てゐ (@TewitoReisen) 2018年6月18日
自分勝手なメディアよなぁ pic.twitter.com/W9N1RfCtLg
順を追った「取材申請」ではなく、最初から自社が使用することを前提とした、不躾な文面である。あくまで自社が「報道すること」こそが優先されるべき意義を持ち、ネットや一般人はそれに協力するのが当たり前だというオールドメディアの特権意識がありありと出ている。
「自分勝手なメディアよなぁ」と感じた、てゐさんはフジテレビ側に「許可した覚えはない」「非常識ですよ。呆れます」との旨をDMで伝えたところ、フジテレビから「使用を取りやめる」と報告があったという。
無断使用をしようとしたアカウント「FNNビデオPost」は、「フジテレビ報道局の公式アカウント」でプロフィールには「FNNビデオPostに投稿された映像・画像をご紹介しています」とある。もちろんてゐさん側からFNNビデオPostに投稿などしてはいない。では、一体どのようなやりとりがなされるのか。使用申請にあたって、媒体の説明や謝礼の提示などはあったのか。編集部の取材に、てゐさんは以下のように説明する。
「(使用媒体については)画像はただ放送で使用するみたいな感じの事しか記載してなかったです。謝礼(の提示)はなかったです。たいした説明もなしにこんな事言われたら首をかしげてしまいます。(事後報告で使用しようとすることに抗議すると)『本来なら許諾を先にいただくべきでした』『使用いたしません。大変お騒がせしました』というメッセージがありました」
また、てゐさんによれば『ビビット』(TBS系)からもDMで使用するとの勝手な報告があり、「私使用許可出してないんですけど」と断ると、数時間後「別の方に許可を頂いた写真を使用しました」と報告が入ったという。
「報道」は国民の知る権利に貢献するものとして優遇措置を受けている。著作権法(第41条)上、いわゆる「報道利用」の名の下に、著作者の許諾無しに著作物を利用できることになっている。とはいえ、いまや情報を発信できるのはフジテレビやTBSだけの特権ではない。旧メディアに頼らずとも、一般の各人がSNSや掲示板を使って拡散できる時代なのだ。彼らが一般人の情報にタダ乗りし、我が物顔で利益代表者におさまろうとする行為は傲慢以外の何者でもない。新時代に適合した著作権法、そしてメディア側の倫理が問われるところである。