■霊峰富士は宗教団体も引き寄せる? 伝説の「乾徳道場」を訪ねてみた

霊峰富士山は古来、宗教団体を引き寄せるようだ。

富士山周辺の新興宗教施設を調べると、白光真宏会、崇教真光、普明会教団、宇宙の宮、阿含宗、幸福の科学、神幽現救世真光文明教団、真如苑、創価学会、立正佼成会、普明会教団、生長の家……と枚挙にいとまがない。

富士山を信仰の対象とする浅間神社は貞観大噴火以前からあったし、江戸時代には富士講という山岳信仰が大流行した。それらが時に混ざり合って複雑な宗教体系になっている。

このように富士山に惹きつけられる宗教団体は多いが『乾徳道場』はすごい。なんと、樹海のど真ん中にあるのだ。青木ヶ原の謎の宗教として伝説になっている場所だ。

富士五湖消防本部河口湖消防署上九一色分遣所という施設の裏手にある精進湖口登山道という樹海の中を突っ切る登山道をひたすら登っていく。

歩いていくとよく鹿がピュンビュンと走り抜けて行く。テレビカメラを連れて3回この道を進んだが、3回とも鹿が現れた。ただし一回も撮影できなかった。鹿のガチ走りの速度は半端ではないのだ。

不安になるほどずっと登って行くと道が二股に分かれる。登山道から外れる左の道を進んで行く。

かつては工事現場のバリケードフェンスに木の板がかけられ「乾徳道場」と書道で書かれていたが、とっくになくなっている。

そこからまたしばらく歩いて行く。

道を違えたのではないかと不安になった頃にドーンと人工物が現れる。

四角い、ガレージのような現代的な建物だ。宗教団体と言えば古い神社のような建物だと思い込んでいたので少し意外だった。

しかし、意外ゆえに違和感はより強く感じた。その建物からよりもっと奥に進んでいくと、母屋らしき家が現れた。こちらは多少古かったが、それでも宗教施設という感じではない。昭和の一軒家、といった佇まいだ。

近づいていくと、シャッターに張り紙がされていた。

どれどれと近づいてみると

『祈りの言葉
実在者(おおがみさま)の御心が此の世に
顕れますように。
一、神(諸法実相)の国が開かれますように
一、凡ての人が神(諸法実相)に蘇りますように』

と書いてある。うわーやべー……と思いながらも。ここまで来て帰るのも悔しい。

勇気を持ってドアをノックした。

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