いきなり私事で恐縮だが、今般神職検定講習を受けめでたく合格、晴れて神主となった。なんで魚屋のおっさんが神主?ってよく聞かれるけど、単に日本の神様が大好きだからだ。

古事記を読むと日本の八百万の神々はとても明るく、時にはおっちょこちょいだけど、いざとなると勇敢でもある。

それにオレの商いしてる魚も、天子の子たち(オレたちのこと)の食糧となりなさいと命じておられる。これもしっかりと古事記に記されてる。

そんなこんなでこれから残された人生の中で、何かのお役に立てるんじゃねぇかってのが発端だ。まぁ特に出来が悪いんで、何ができるのかはわからねぇが細く長く神様にかかわっていければと思ってる。

ってことで、さっそく水産業の話題。

先週、福岡で開かれていた中西部太平洋マグロ類委員会(WCPFC)の北小委員会が閉幕した。報道の通り、日本が主張するタイヘイヨウクロマグロ(いわゆる本マグロ)漁獲枠の拡大は受け入れられず、合意に至らないまま終わった。

結論を言ってしまえば当たり前のことだ。以前にも本稿に書かせてもらったが、この議題になったタイヘイヨウクロマグロは、現在では初期資源量の3.3%しかいなくなってる、国際自然保護連合から絶滅危惧種に指定されている魚だ。

日本は一貫して漁獲規制に反対し続けてきた。で、前回のWCPFCでは米国をはじめとした規制推進国から「日本は科学をもてあそぶなっ!」という国際会議ではありえない非難まで浴びせられてきた。

で、今回資源量が微増(2.6から3.3%)になったってことで、漁獲枠を増やせぇとやったわけ。オレもよく解らねぇが資源量のレベルってのは40%以上が適切らしい。だから諸外国では40%を切ると、厳しい漁獲規制がかかるらしい。

諸外国の常識からいえば資源量が一桁で、その上5%以下なのだから「全面禁漁」に踏み切るレベルだ。それを誤差レベルの資源量が増えたからって、諸外国から納得を得られるわけがない。

最近では日本国内でも、何につけても「科学的根拠」って言葉がよく聞かれるようになってきた。これはとても良いことだと思う。どんな政策も業界の都合だけでなく、特に水産業のように自然が相手の場合、しっかりとした科学的根拠をもとに決定されることが望ましいと思う。

しかし残念ながら、こと水産に至ってはまだまだ業界の都合、特に特定の業界の都合が優先されているように思う。これには天下りの問題も絡んでくる。

とにかく本マグロはいなくなってる。これを言うと決まって中国ガー、韓国ガーという話が出てくるが、日本が今までやってきた乱獲の足元にも及ばないレベルだ。日本は世界最大のマグロ消費国であり、漁獲国だ。本来ならば先頭にたってマグロをどうするの?ってことを政界を巻き込み議論し、守っていく立場だと思う。

「日本政府代表の太田慎吾水産庁審議官は会議終了後に記者会見し、『資源が回復しているにもかかわらず、増枠が全く認められなかったのは非常に残念だ』と語った。」だってさっ。

残念のはドッチだよ。あぁ恥ずかしい。