この像が作られた当時、裸の彫刻というのは珍しいものではありませんでしたが、その後急速に街のマスコット的存在になり、市民に親しまれるようになったといいます。

フランスのルイ14世がブリュッセルを爆撃した際は、フランス側に雨が降るようにと、小便小僧が市民を代表する広報担当者に選ばれました。

・二度の盗難に遭っている

世界で最も有名な像のひとつである小便小僧は、これまで二度の盗難に遭ってきました。

1817年の盗難事件では、捕まった犯人は重労働を課され、焼き印を押され、公の場にさらされるという重い罰を受けました。それだけ、街のシンボルである小便小僧を盗んだ犯人に対する市民の怒りが大きかったということなのでしょう。

1965年の盗難事件では、翌66年に市内の運河で2つに割られた小便小僧の像が発見され、以降は盗難防止のために噴水にはレプリカが設置されるようになりました。

・世界一の衣装持ち?

「世界一の衣装持ち」としても知られる小便小僧。小便小僧が特別な日に衣装を身にまとうという習慣は17世紀から続いていて、世界各国から贈られた衣装はおよそ1000点にものぼります。

2017年には「小便小僧の衣装博物館」がオープン。以前は、グラン・プラスのブリュッセル市立博物館で衣装コレクションの一部が展示されていましたが、現在ではこの衣装博物館で100数十点あまりの衣装の数々を見ることができます。

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