■すべての中国IT上場企業は共産党政府に監視されている?

このアプリが成功して、日本の若者の心を掴んでいるのは事実ですが、中国製アプリの危険性を警戒しないといけません。では、なぜ「中国製アプリ=危険」なのでしょうか?

理由は「TikTok」運営会社が「中国の上場企業」だからです。

中国政府はすべての上場会社に「中国共産党支部」を設置する命令を下しているのです。中国証券監督管理委員会の発表より「在中の外国企業を含む、すべての上場企業は共産党の組織活動に支援しないといけない。そのため、企業内に共産党支部を設置する」、つまり、共産党支部の設置は上場の基本条件となっています。

次にこれをご覧ください。

中国政府は2017年10月から、中国の大手IT企業の株式の1%を取得し、IT企業の運営を干渉することが義務化されているのです。

以上の二点の「義務化」により、中国のすべてのIT企業の製品は、共産党の関与下で運営されています。中国のSNS「微博」(※中国版ツイッター)の例にすると、投稿の内容を中国政府に自動送信して、検閲されることも義務化されます。TikTokについても、同じことが起きている危険性は否めません。日本の若者が登録した個人情報や自撮りした動画を、中国政府が自由に閲覧し、ビッグデータとして永久に保存していることも覚悟した方がいいかもしれません。

ちなみに、TikTokには中国共産党の関係機関が「公式アカウント」を設置し、巧妙な若者向けプロパガンダを展開しています。悪名高い北京公安警察もフォロワーは361万人。共産主義青年団中央、江蘇省ネット警察、全国共産党公共メディア、など、100以上の共産党組織の公式アカウントが存在しています。

https://www.sohu.com/a/238487089_778600

また、人民網(中国共産党中央委員会の機関紙『人民日報』で知られる中華人民共和国のメディア)でも、TikTok公式アカウントが同アプリを利用して政府メッセージを発表しています。これに対し、中国人のネットユーザーたちから「中国政府はTikTokを利用して、プロパガンダ宣伝をしているのではないか」と懸念する議論が溢れてます。 

日本人のみなさんは上述のことを理解された上で、スマホアプリが中国製と気づいたら、即削除を検討された方がいいでしょう。しかしながら、中国人の私が残念に思うのは、世界の人の心を掴むような「日本製のアプリ」が登場しないことです。

2000年、日本の「IT革命」戦略と打ち出した以降から十数年間、韓国製のLINEやsnow、アメリカ製のTwitter、Instagram、中国製のTikTokが日本人の10代20代の市場を完全に占拠して、逆に日本製のアプリが日本人の心を掴んだ成功の例はmixiくらいで、それも短期間で終わってしまいました。

SNSが日常的な連絡や交流手段になっている現代では、スマホのSNSアプリは昔の電話と同じくらい、国のインフラ整備くらいに重要な役目になっています。日本政府は国民の安全な情報管理のために、国産SNSのアプリの開発を支援しなければなりません。日本国民が国産SNSで安心な通信ができるよう、国会の重要な議案として提出するべきではないでしょうか。

  • 1
  • 2