世界遺産・平等院鳳凰堂や源氏物語ゆかりの地として知られる、京都府宇治市。平等院鳳凰堂や源氏物語とともに、宇治の代名詞となっているのが「宇治茶」です。
宇治でお茶の栽培が始まったとされるのが、13世紀。15世紀ごろには、将軍家や天皇家の庇護を受ける日本茶のトップブランドに成長しました。
お茶処としての宇治の存在感は今も別格で、平等院鳳凰堂に通じる商店街を歩けば、そこかしこから香ばしいお茶の香りが漂ってきます。
宇治を訪れる最大の楽しみのひとつが、名産のお茶を使ったスイーツ。宇治には名だたる甘味処がたくさんありますが、なかでもトップクラスの人気と知名度を誇るのが「中村藤吉本店」です。
中村藤吉は、1854年(安政元年)創業の由緒ある茶商。中村藤吉が運営する喫茶は京都駅や銀座の「GINZA SIX」にもありますが、優美な日本庭園をもつ本店の貫禄は格別です。
2009年、宇治の重要文化的景観に選定された中村藤吉本店。「十」をマルで囲んだ「まると」ののれんが掛かった入り口は、人気のフォトスポットにもなっています。
のれんをくぐって奥に進んでいくと、情緒あふれる日本庭園が目に飛び込んできます。なかでも目を奪われるのが、中庭の中央にある大きな宝来船松。二代目藤吉が家業の安全を願って植えさせたもので、樹齢はなんと約250年に達しているといいます。
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