資本市場の主役は個人投資家であると考える松本氏。昔、英国のサッチャー元首相がブリティッシュ・テレコムの民営化をした際、資本主義を生んだイギリス国民に資本主義を忘れさせないように電話代の請求書に切り取り線のような形でBT株の売り出しを行なった例をあげた。対照的に日本はそもそも「株式資本主義的な感覚は低い」。それにもかかわらずサッチャーのような啓蒙活動がされておらず、株投資は怖いものというイメージが先行。「貯蓄から投資」への移行は進まず、国民が株投資から遠ざかってしまっているのが現状だ。

「(資本主義が)行きすぎちゃった国がやるなら分かるんですけどね…。日本はそもそも株式カルチャーがない。まずはそれを広めないとだめですよね。そうしないと日銀ばかりが株を買っちゃって…」

啓蒙活動を通じて自立した個人投資家に対して松本氏が期待することの一つは、会社のチェック機能の強化だ。

「アクティビストっているじゃないですか?香港とかに。そうではなく、個人がもっとアクティビスト的に会社に対して『何やっているんだ』と言った方が良い」

松本氏は、例えば東芝の粉飾決算やオリンパス事件の際も、最初に問題に気づいたのは個人投資家であって機関投資家ではなかったと指摘した。

「個人の目の方が絶対しっかりしてるんですから。(中略)機関投資家もやっているのは個人なので。そうしたら1人の個人と100万人の個人だったら、100万人の目の方がはるかにいろんなものを見つけるんですよ」

コインチェックの金融庁登録に向けた機運が高まりそうな来年。12日の説明会でコインチェックの勝屋敏彦社長が「来年は決済や送金手段としての仮想通貨のニーズが高まるだろう」という見通しを語っていたが、コインチェック発で社会的に有用な仮想通貨の使われ方が登場する可能性があるだろう。そして、コインチェックをきっかけに仮想通貨投資を始める若者をアクティビストにする啓蒙活動。来年、松本氏の野望が本格的に動き出すかもしれない。

(記事提供:コインテレグラフ日本版)
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