ベトナム最大の都市、ホーチミンは安ウマグルメの宝庫。ベトナムの名物といえば、麺料理の「フォー」が思い浮かぶかもしれませんが、フォーの本場はむしろベトナム北部。

ホーチミンを訪れるなら、必ず一度は食べるべき南部の名物が、「ベトナム風お好み焼き」とも呼ばれる「バインセオ」です。

日本にあるベトナム料理店でも人気のバインセオは、米粉とココナッツミルク、ターメリックを混ぜた生地に豚肉やエビ、モヤシなどを入れてパリパリに焼き、レタスや香草で包んで食べるベトナム南部の超定番料理。「お好み焼き」とは言われるものの、形や味は日本のそれとはずいぶん異なります。

ホーチミンにはバインセオの名店がいくつかありますが、そのなかでも特に有名な店のひとつが、創業70年を超える「バインセオ46A」。春巻きなどのサイドメニューもありますが、店名に「バインセオ」を冠しているところに、バインセオに対する自信がうかがえますね。

バインセオ46Aがあるのは、ホーチミン観光の中心となる1区の北部。主要な観光スポットからはやや離れているのですが、外国人旅行者にも大人気の店で、タクシーで乗りつける人が後を絶ちません。

すぐ近くには、最近フォトスポットとして人気のタンディン教会があるので、両方をセットで訪れるのがおすすめ。観光スポットが集中する中心部からは、タクシーで10分程度です。

路地裏にあるオープンエアのバインセオ46Aは、実に素朴な店構え。何も知らずにたまたまここを通りがかれば、ここが世界各国から旅行者が訪れる有名店だとは思いもしないことでしょう。

現在ではずいぶんと外国人旅行者の姿が増えていますが、もともとは地域に根差したローカル店。テイクアウトにやってくる地元っ子の姿も数多く見られます。

観光客向けのおしゃれなレストランでの食事もいいですが、こうした素朴な食堂では、ベトナムらしい風情が感じられるというものです。ちなみに、向かいの建物には店内席もあるので、中で食べることも可能。

店先では、大きなフライパンを使って次から次へとバインセオが焼き上げられています。バインセオを作る過程が見られるレストランはあまりないので、こうしたパフォーマンス的要素も人気の理由のひとつなのかもしれません。

次ページ