ドイツ南西部にある黒い森で開催されるファスネット(カーニバル)は、ゲルマン土着の文化と伝統を色濃く反映したお祭り。ドイツのカーニバルと言えばケルンやデュセルドルフで開催される陽気なお祭りを想像する方が多いかもしれませんが、これらの都市のカーニバルを見てから黒い森へ来れば、その雰囲気が大きく異なることに驚くでしょう。

そんな伝統色の強い黒い森のファスネットにおけるハイライトと言われているのが、ロットヴァイルで行われるパレード(Narrensprung)。まるでドイツ版の「なまはげ」を思わせるかのような怖い面をつけた人々が、「ホーホホホ」と声を上げながら旧市街を練り歩きます。

ロットヴァイルパレードが始まるのは朝の8時。音楽隊の行進が過ぎると、やがて2人の馬追に追われながら馬が登場します。馬追がムチを振りかざすごとに「パン!パン!」と周囲に響き渡る爆竹の様な音。

その後はいよいよ、伝統衣装に身を包んだ人々の行進が始まります。黒い森におけるカーニバルのハイライトというだけあり、参加者も4200人ほど。周囲の町と比較すればかなり大規模なパレードです。

カメラを持っていると皆「写真撮って!」と言わんばかりにポーズ。その怖い顔とは対照的な、茶目っ気たっぷりの一面も見せてくれます。

手に持っている棒を使いながら飛び跳ねたり、棒の先についている動物の尻尾のようなもので見物客の顔をなでたりと、彼らはやりたい放題。2人で同時に顔を撫でに来ることもあり、そうなればもう逃げ場はありません。大人しくなでてもらえば、彼らはまた嬉しそうに「ホーホホホ」と声を上げながら去っていきます。

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