インドネシアは仮想通貨交換業への規制と同様に、明確な規定がない状況となっている。
また、森氏によると、セキュリティトークンかユーティリティトークンなのかといった法的な論点も存在するという。例えば、マレーシアでは、全てのトークンがセキュリティトークンとして扱われるが、一方で、シンガポールではセキュリティトークンは許可を必要とするのに対し、ユーティリティトークンである場合、許可が必要無いため、ビジネスを行う際に重要なポイントとなる。
STOかそれともICOか
森氏によると、公益的な目的の実現にはICOは親和性があり、トークンにする意味については議論の余地があるものの、純粋な資金調達はSTOという流れがあるという。また、株式や社債といった他の資金調達方法と併せてICOを行うといった事例も増えているという。
また、シンガポールでも、現状ではIPOと同等のコストがかかるため、STOのパブリックセールは難しく、シンガポールで行われたSTOは少数私募で行われている場合がほとんどであるという。
また、STOに関する国際的な規制の枠組みの必要性についても言及した。
「証券法は日本を含め、各国に規制があるので全部の国の規制を通らないと世界中で売ることは当然できない。STOが普通のIPOと違うのは、流通の問題において、世界中で誰でも売買できる点だ。
ボーダレスを実現するというのが一つあるが、それが規制で現れない。売買するには各国のライセンスが必要だからだ。(中略)各国の規制を統一する方法を模索する流れが生まれつつある。条約とかそういうものが必要になってくる。ただSTOに対する考えは各国バラバラなので統一した枠組みをつくるには難しい状況にある。」
期待度は依然として高い
東南アジア各国では、新しい技術である仮想通貨や、ICO/STOなどに期待が寄せられている一方で、法律面を含めて、様々な課題が存在している状況だ。
ICOに関しては、経験者も増え、実施するコストは下がってきているが、STOに関しては依然としてコストがかかる。また、それぞれの仮想通貨の開発者数の違いなどから、どの仮想通貨を利用するかによっても、コストが大きく変わってくる。
森氏によると、プロジェクトには成功例もある一方で、最近では撤退例も多くみられるという。
「成功例と撤退例はいっぱいみてきたんですけど、最近は撤退する事例が多い。スキャムや詐欺というわけではないが、沢山資金を調達したがその後、うまくいかなかった。これは仕方ない。でも資金調達だけを仮想通貨でやろうという人はまだまだ多く、話題集め程度に考えている人たちはいる。
成功例は、プロジェクトの中心メンバーがその国に移住して就労ビザをとって本気でやる場合で、そうでないと資金が集まらない。(中略)仮想通貨を利用する意義というのを突き詰めていないと、お金が集まったとしてもその後成功しないだろう。」
講演の中で、フィリピンの経済特区の関係者が森氏の所属する弁護士事務所に売り込みにきたという話があったが、この話からも分かる通り、仮想通貨及びICOに商機を見出す動きは依然として活発にあると考えられる。
(記事提供:コインポスト)
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