また、パウエル氏は仮想通貨取引を行うユーザー各自がコインの安全な管理に責任を持ち、仮想通貨取引所を利用することのリスクに留意する必要があるという自身の見解を述べています。一方、仮想通貨取引所バイナンスのジャオ・チャンポンCEO(通称CZ)は、仮想通貨ユーザーに対し、仮想通貨を管理する最良の方法として分散型取引所(DEX)の利用を奨励。これに関して2019年1月、パウエル氏とこのジャオ氏の間で次のようなツイッターの応酬がありました。

ジャオ氏が「最も評判が良くて、安全性が証明された取引所だけを使ったほうがいい」とツイートしたのに対し、パウエル氏は「頻繁に取引を行う予定の額以上のコインを(@krakenfxを含む)取引所に保管しないで。お願いします。@LedgerHQや@Trezorがお勧め。The DAOで分かったように、DEXは万能なわけじゃない。オープンソースであるというのは、単に不具合が早く発見されるというだけのことだ。(しかもそれを発見するのは多分いいヤツじゃない)」と返答しました。

クラーケンは800名の従業員を抱え、高度なウォレット管理システムと信頼性の高い継続計画を配備。クラーケンはビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ライトコイン(LTC)、ドージコイン(DOGE)、リップル(XRP)、ステラー(Stellar/XLM)を含む仮想通貨を幅広く取り扱っています。

バイナンスやコインベースといった競合他社が現状のサービスを補う手立てとしてDEXの構築に着手している中、パウエル氏はクラーケンのDEX計画については言及していません。

「確かに近い将来、資産のほとんどが中央集権型の取引所以外の場所で取引されるということはあり得ると思います。もしDEXが期待通りの動きを見せるとしたら、資産の流動性や取引への参加を制限する規制に縛られなくなるからです」。(パウエル氏)

一方で、仮想通貨取引所の取引高水増し疑惑も取りざたされており、中央集権型の取引所が仮想通貨エコシステムの中で果たす役割は厳しく精査されつつあります。ニューヨークに拠点を置くオンチェーン取引分析プラットフォームのタイ(Tie)は上位100の仮想通貨取引所についてインターネット上のトラフィックを分析し、実にその90%近くの取引所が取引高を偽っている可能性を指摘しました。

また、パウエル氏はこうも述べています。「(取引高を計測するための)方法はいくつもありますが、どの方法でも取引高を偽っている取引所とそうでない取引所の判別結果はほぼ同じです。実際に起きていることを知りたければ、とにかく取引所の中に入ってみることです。実際に中で何が起きているか、取引所の外にいながら把握することは不可能です」。

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