ロンドン中心部の金融街「シティ(City)」に隣接する「バービカン・センター(Barbican Centre)」は、1965~76年にかけて建設された巨大集合住宅「バービカン・エステート(Barbican Estate)」内に、1982年にオープンした複合文化施設です。

日本でいうところの市民会館のような存在で、劇場、映画館、アート・ギャラリー、学校、図書館などの文化施設が一堂に会しています。

同地の特徴は何と言っても、歴史を感じさせるレンガ造りの建物や急ピッチで建設が相次ぐ高層ビルが並ぶロンドンの景色の中で異様を放つ「ブルータリスト(またはブルータリズム)建築(Brutalist/Brutalism architecture)」。

「粗暴な、荒々しい」などの意味を持つ「ブルータル(Brutal)」が語源のブルータリスト建築は、1950~60年代に流行した建築様式で、学校や市役所、文化施設など公共の建物に多く取り入れられており、打放しコンクリートを多用した重厚で無機質なデザインが特徴です。

そんなバービカン・センターの中で、最近インスタ世代に人気を博しているのが、日曜限定(※)で開園しているロンドンで二番目の規模を誇る温室「バービカン・コンサバトリー(Barbican Conservatory)」です。

人気を博している理由は行って見れば一目瞭然。年月をかけて成長したむせ返るようなツタや南国の草花が、それに相対するように無機質なコンクリート造りの植え込みやバルコニーを覆うようにして生い茂り、とにかくどこを切り取っても絵になるのです。

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