先物取引は、ボラティリティ(価格変動)の高い仮想通貨取引のヘッジ手段の一環として重宝するとの評価がある一方で、奇しくも、ビットコイン(BTC)価格は、2017年12月中旬までに2万ドル(220万円)の最高値を付けた後に暴落、中長期的な下落トレンドに移行した。
今年5月には、ビットコイン先物と市場との相関性について財務総合政策研究所が、独自の研究レポートを財務省広報誌「ファイナンス」で発表。
ビットコイン(BTC)先物の導入背景については、「ビットコイン先物は、価格の透明性や業者のリスク管理を向上させること等を企図しており、株式や国債など幅広いアセットクラスで先物市場があることに鑑み、暗号資産市場の成熟のため先物の導入が求められた」と分析した上で、ビットコインの価格推移を見れば分かる通り、価格のトレンドが下がり始めた時期と、ビットコイン先物導入時期は時期を同じくしていると言及。
しかし、ビットコイン現物の価格に加え、ビットコイン先物の価格および取引高のデータを用い、先物の導入と現物価格の関係について、初めての実証研究を行った結果、最新の研究レポート(Hattori and Ishida 2019)では、先物の導入とビットコイン価格の下落の間の相関関係を否定する分析結果を結論付けた。
Bakkt提供予定のビットコイン先物の影響
着目すべきは、機関投資家向けの仮想通貨プラットフォームBakktは、7月22日からビットコイン先物取引のユーザー受け入れテストを開始することを発表したことだ。
ビットコイン(BTC)の先物決済は法定通貨(米ドル)になるが、Bakktの場合は「現物先渡し」先物を提供する方針であり、米CFTC(商品先物取引委員会)の認可待ちとなっている。つまり、実質的に「現物取引のBTC取引が可能になる。」というメリットがある。
Bakktは昨年8月、親会社であるICE(インターコンチネンタル・エクスチェンジ)が、マイクロソフトやスターバックスから出資を受ける形で発表され、話題になっていたビットコインETFを凌ぎ「2018年最大級のニュース」と呼ばれた経緯がある。
ICEのプラットフォームで米国規制下初の現物先渡し取引先物取引取引が行われることで、機関投資家の参入への期待感のほか、市場への影響にも期待感が高まっている。なお、日間の現物先渡し先物取引を提供するため、実質的な現物取引のBTC取引が可能になることで、これまで制限されていた大口の取引にも幅がもたらされることとなる。
12日には、ビットコイン先物を提供するCMEの2019年5月分の出来高と建玉が、取引開始以来の過去最高水準の約1.3兆円に達したことが判明した。 先物取引の需要は、4月比で+27%の続伸を見せるなど、ビットコイン(BTC)の高騰に伴い急増している。
(記事提供:コインポスト)
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