数々の名曲を世に生み出しながらも、その死後は名実ともに忘れ去られていてしまったバッハ。そんな彼の再評価に一役買ったのが、ロマン派の作曲家として活躍したメンデルスゾーンでした。彼が1829年にベルリンで行った「マタイ受難曲」の公演をきっかけに、バッハの楽曲は以前にも増して高く評価されるようになったのです。
このほかゲヴァントハウス管弦楽団(世界最古の市民階級によるオーケストラ)の楽長としての活躍やドイツ初となる音楽院の創設など、19世紀のドイツ音楽界に大きな影響を与えたメンデルスゾーン。彼が亡くなるまで住んでいた家は「メンデルスゾーン・ハウス」として公開されています。
マルチメディア機器を使って楽曲を聴いたり指揮者の体験をする事ができるスペースも用意され、メンデルスゾーンという人物が残した功績を体全体で追体験ができます。
一家が実際に使用していた家具や調度品が当時と同じ配置で置かれている部屋からは、かつてここで営まれていた生活や音楽活動のようすが直に伝わって来るかのようです。毎週日曜日には小さな演奏会も行われているので、このタイミングでライプチヒに滞在する方は出かけてみるのもおすすめですよ。
メンデルスゾーン・ハウスの近くには、さきほども少しだけ触れたゲヴァントハウス管弦楽団の本拠地であるコンサートホールがあります。現在立っているのは1918年に完成した3代目となる建物で、1900席あるヴィンヤード型のホールは音響が素晴らしいことでも有名。楽団の評価も国内外で高く、日本公演はベルリンフィルやウィーンフィルにも負けないほど。
次ページ