現在の日本では様々な分野において人手不足が問題となっているが、それは土木建設業界でも例外ではない。また、土木建設業界では老朽化する膨大な量のインフラの点検が急務となっている。これらを解決する技術として期待されているのが、「土木テック」である。土木テックの開発を行なっている株式会社土木管理総合試験所に、その取り組みについて話を聞いた。

1ヶ月かかっていた解析が数秒で終了

現在の土木建設業界が抱える問題のひとつとして、老朽化するインフラがある。事故が発生しないように道路や橋梁などの状態を点検しないといけないが、従来の点検作業は人力で行なわれていて、コストが大幅にかかっていた。しかも、その作業を担当する技術者は少子高齢化で減少しているのだ。

こうした問題を解決するために研究開発が進んでいるのが、土木テックなのである。土木テックとは、これまでの仕事でつちかった経験に最新技術を組み合わせたもの。最新技術の力で作業を大幅に効率化することが期待されている。この土木テックのひとつが土木管理総合試験所と東京大学が共同開発した「ROAD-S」だ。

従来の橋梁の点検では、人が目と耳を使って検査を行なっていた。そのため判定結果にバラつきがあり、時間と人数も必要だった。道路の点検も時間がかかっていた。道路の状況のデータの収集自体は短時間で行なえるが、データの解析を目視で行なっていたためだ。

だが、ROAD-Sを使えば、こうしたコストが大幅に削減される。専用の車両が道路を走行しながら、三次元電磁波レーダを使って道路の地表と地中のデータを収集。AIがそのデータを短時間で解析して、ヒビ割れや空洞などがないかを探す。従来の調査方法では1kmあたりの解析に1ヶ月程度かかっていたが、ROAD-Sではなんと数秒で解析が終了するという。

特別な知識がなくても、道路の状況が一目でわかる

現在、土木管理総合試験所は全国の高速自動車国道と一般国道を調査してデータを集積している。こうして集めたデータをビッグデータ化すると、ROAD-Sを使って地図上で調べたい道路の状況を簡単にチェックすることができるようになる。

地図上で道路に異常の多いところは赤、異常がないところは青、その中間の程度のところは緑で表示される。わかりやすいビジュアルなので、知識がない人でも道路の状況を一目で把握できる。

従来の道路の調査は、自治体が点検診断業務を業者に発注し、数カ月後に納品された診断結果をもとに計画を立てて修繕工事を行なっていた。ROAD-Sを使えば、この点検診断にかかるコストが大幅にカットされるのだ。

また、ROAD-Sなどの土木テックの導入は渋滞や通行止めの減少、深夜帯の工事の減少、大事故の抑止なども見込めるので、一般消費者にとってもメリットがある。

土木管理総合試験所の担当者は「将来的には、市民のみなさんと役所のかたがROAD-Sを見ながら一緒に話し合えるような使い方ができれば」とも語っている。ROAD-Sを含めた土木テックは一般消費者にとっても注目する価値のある技術と言えそうだ。