次に、リスク指数の高いイベント11件においてビットコイン価格とSP500の変化率を比較すると、そのうち2件でビットコイン価格が上昇し、SP500が下落した。例えば、英国のEU離脱が決定した国民投票の当日、BTC価格は7%上昇、SP500は4%下落するというリスク反応を示した。また、20年1月初頭の米イラン対立では、1月3日の国際空港攻撃の当日、BTCは5%上昇、SP500は1%下落した。
最後に、同じリスク指数の高いイベント11件についてBTC価格と金の価格の変化率を比較したところ、BTCと金価格が同時に増加するというリスク反応は4件見つかった。具体的には、2014年2月のロシアのクリミア侵攻、2014年7月のウクライナの航空機撃墜、2016年6月のブレグジット、2020年1月の米イラン対立激化である。ただし、BTC価格だけを見た場合は11件中8件のイベントに対して価格が上昇しており、金よりも反応していたイベントは多い結果となった。
GPRの値を元に地政学リスクの高まりとBTC価格の推移を振り返ると、BTC価格がリスクの高まりに反応する時期は一定程度存在し、またその反応はBTC価格が低い場合ほど大きいことが確認された。既往のビットコイン価格急落は流動性危機に巻き込まれたためと見られるが、純粋に地政学リスクの影響を抜き出すと、ビットコイン価格にはプラスに働いている可能性が高そうだ。GPRの反応とビットコインの価格推移は、ビットコインを「安全資産」と捉えるか否かの判断材料として今後も継続して注目したい。
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