勇壮で華麗な日本最大級の夏祭り「ねぶた祭」に、生産量日本一を誇るリンゴ、そして世界に名前を轟かせる大間のマグロ、陸奥湾の絶品のホタテやアワビなどの豊富な海産物で有名な都道府県といえば、本州最北端の青森。
非常に広い青森県は、青森市・弘前市を中心とする津軽、八戸市を中心とする南部、そして下北半島の3つのエリアに大きく分類される。
非常に広く、江戸時代には藩が分かれていたこともあるため、青森県内でも、津軽では知られているが、八戸では知られていない、なんてことはザラに存在している。
しかし、そんな青森県の県民のほぼ全員が知っているというソウルフードがあることをご存知だろうか?
今回は、そんな青森県民が愛するソウルフードの1つである「イギリストースト」をご紹介したい。
・青森県民なら誰もが知っているパン屋「工藤パン」が提供しているロングセラー、それが「イギリストースト」
イギリストーストは、1966年(昭和41年)ごろに青森県青森市に本社がある「工藤パン」が発売した菓子パンの1つ。
1966年(昭和41年)といえば、あのビートルズ来日し大フィーバーとなった年。日本国民の総人口が1億人を突破し、日本テレビ系の演芸番組「笑点」の放送が開始するなど、日本がバブル時代に向けて大きく経済的に成長していった時代。
もともとは創業の地の周辺エリアで食べられていた、山型の食パンにバターを塗りその上に砂糖をかけて食べるという習慣を参考に作られた「工藤パン」のイギリストーストは、青森市に本社を移転、そして青森市を中心に販売を行っていた。
その後、青森県内の中学校や高校の売店でも販売されるようになり、食べ盛りの学生たちを中心に人気が徐々に広がっていたのだそうだ。そして、現在では、青森県民であれば食べたことがない人はいない、と言っても過言ではないほど、常識的な食べ物となっている。
その証拠にイギリストーストの年間出荷量はなんと500万個。そして、その全てが青森県内で消費されているため、青森県民1人あたりで換算すると、青森県民はイギリストーストを1年間に3つ食べている計算になるのだ。
50年以上前に生まれたイギリストーストは、いまやイギリス大使館から国旗の使用を許可され、ユニオンジャックを包装デザインに取り入れ、いまなお多くの青森県民に愛され続けている。