長い歴史の中で遊牧民として生きてきたトルコの人々の食生活の中で根付いているもののひとつが、乳製品です。トルコが発祥のヨーグルトをはじめ、トルコの食卓に乳製品は欠かすことができません。

ヨーグルトやチーズは日本でも馴染みのある食べ物ですが、カイマックはまだ日本ではあまり知られていないトルコの乳製品のひとつではないでしょうか。

一度食べるとやみつきになってしまうカイマックの魅力と、新鮮なカイマックを食べることができるイスタンブールの「ボリスィン・イェリ」というお店をご紹介しましょう。

カイマックはヨーグルトでもチーズでもないクリーム状の食べ物です。トマトやオリーブの実、キュウリ、卵、パン、チャイが並ぶトルコの朝食にぴったりのカイマックですが、実はトルコだけでなく、バルカン半島諸国や中東諸国でもそのレシピに微妙な差はあれ、食べられています。

カイマックは、新鮮な牛乳を低温で2時間ほど煮込んだ後、クリーム状になっている上澄みを取り出して数日間そのまま冷やして発酵させたものです。乳脂肪分が60パーセントと高く、独特の濃厚な風味が特徴です。このまま食べるのではなく、トルコではハチミツと一緒に食べたり、手作りのジャムと一緒にパンにつけて食べたりします。

カイマックはスーパーで買うことができますが、鮮度が高く余計な保存料が加えられていないカイマック本来の味を楽しみたいのなら、乳製品専門のお店で購入したり飲食するのが断然おすすめです。

そこでおすすめなのが、イスタンブール旧市街の下町クンカプにある1936年創業の「ボリスィン・イェリ」です。黒海に面する自然豊かなスィノプ県出身の店員さんたちが営む乳製品のお店で、毎日仕入れる新鮮な牛乳を使って様々な加工乳製品を販売しています。店内の飲食スペースでは、そんな乳製品を使用した料理を食べることができます。

地元の人に愛される「ボリスィン・イェリ」の人気メニューはやはりカイマック。新鮮な牛乳から手作りしているため、スーパーの製品やほかのお店では味わうことができない濃厚なカイマックを食べることができます。乳製品と発酵食品独特の臭みが全くなく、舌触りもビックリするほど滑らかです。

次ページ
  • 1
  • 2