仏事関連総合サービスの株式会社メモリアルアートの大野屋が、3月17日に新製品発表会を実施した。そこで紹介されたのは、デザイン墓石ブランド「KIZUNA DESIGN」の新製品だった。
製品の発表の前に、メモリアルアートの大野屋が行なった、墓石に関する消費者の意識調査についても報告された。
その調査では、親世代には「墓を守りたいが、子供や親族に負担はかけたくない」とう意識があるものの、子供世代の約4割には「家の墓を継承したい」という意識があることが分かった。
こうした調査結果からは、今も人々は墓に重要性を感じていることが読み取れる。発表会に登壇した国立歴史民俗博物館の山田慎也教授からも同様の指摘がなされた。
『現代日本の死と葬儀』などの著書がある山田教授は、「日本におけるお墓の変遷」について語った。山田教授によれば、現代においても墓参りの習慣は衰えておらず、死生観などが多様化した今は、故人を追悼するための場として墓は重要な意味を持っているとのことだった。
周囲になじむデザインの令和モデル
故人の追悼の場という意味で、その人の個性を表わす要素を持った墓も作られるようになっている。メモリアルアートの大野屋が2016年に立ち上げたKIZUNA DESIGNも故人の人となりを表現するためのセミオーダー型デザイン墓石のブランドだ。今回の発表会では、新たに拡充されるKIZUNA DESIGNの「令和モデル」が紹介された。
ブランド立ち上げ時は、技術を活かして石材と異素材を組み合わせた墓などを手がけていたが、令和モデルはそこからさらに発展して、墓単体のデザインだけでなく、周囲の景観も含めてプロデュースするものとなっている。
「お墓がまわりの空間から浮いてしまわないか心配」という声にも応えて、まわりの景観になじむものとなっているのだ。そうすることで、KIZUNA DESIGNの令和モデルは、墓参りで心地よく過ごせる空間を作ることを目指しているのだという。
発表会では、メモリアルアートの大野屋のデザイナーの芦田あさみさんと本沢優実さんも登壇して、令和モデルのこだわりなどについて解説した。令和モデルには個性を出しつつも奇をてらわない特徴があり、メッセージ性のある文字がデザインされた「kotoba」でも、文字を立体的にしないなどの工夫を凝らしたとのことだ。
今の時代に合った墓を手がけているメモリアルアートの大野屋だが、今後は墓が故人の生きた証を示すモニュメントとしての役割も担い、墓のオリジナリティも進化していくと推測している。そうした流れに対応すべく、デジタル技術も使って、QRコードなどを活用することも考えているそうだ。