どんな居酒屋にもそのお店に通う人々の思いが重なり、そしてそのたくさんの思いはそれぞれの居酒屋が醸しだす独特の雰囲気となっていく。それゆえ、日本各地に多く人々を虜にする居酒屋がキラ星のごとく数多存在しているのだ。

例えば、あの吉田類も絶賛する大衆酒場、東京・江東区南砂町の「山城屋酒場」に、新潟の郷土料理からラーメンや洋食まで味わえる新潟市・古町の老舗居酒屋「喜ぐち(きぐち)」北海道随一の日本酒の品揃えと美味しいツマミのお店札幌市北区「味百仙(あじひゃくせん)」、食い倒れの町大阪では、鴨の焼き鳥が味わえる「とり平」、そしてあの開高健も愛したクジラのおでんが楽しめるたこ梅、さらには名古屋にいったら絶対に行っておきたい居酒屋「歓酒亭 大安(かんしゅてい だいやす)」などなど、数え上げればキリがない。

そんな全国にある美味しい居酒屋の中から、今回は、東京は浅草が誇る名酒場をご紹介したい。

お店の名前は「水口」。

・70年以上の歴史を持つ東京を代表する名酒場の1つそれが「水口」
こちらのお店は創業1950年(昭和25年)創業の老舗食堂。

1950年(昭和25年)といえば、日本で初めて1000円札が発行され、NHKがテレビの定期実験放送を開始した年。戦後日本が混沌とする中でも光を見つけ、その後の経済成長に向かって突き進む、そんな時代にこちらのお店は生まれたのだ。そして東京オリンピックが開催された1964年(昭和39年)、浅草演芸ホールが開業されると、こちらのお店は多くの浅草芸人たちにも愛され、今ではいつ訪れてもほぼ満員というほどの人気店となっている。

・何を食べても、落ち着く味わい
こちらのお店、何を食べても落ち着く味わいが提供される。

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