3月23日(木)、三井住友信託銀行株式会社が東京都内にて金融教育が資産形成・承継に与える影響レポート記者発表会を実施した。2022年4月から高校での金融教育の内容が拡充し、その注目度が上がっていることを背景に、金融教育についてのアンケート調査と分析をおこなった。
今回の調査で取り上げる金融教育とは、学校や職場で行われるものである。三井住友信託銀行の調査によれば、年齢によって金融教育の受講経験には格差があり、若い世代ほど早い時期に金融教育を受けた傾向があり、金融教育を受けた20歳代の割合は60歳代の約2倍であることが分かった。
金融教育を早めに受けた人は資産形成に対する意識が高くなることも調査で明らかになった。その結果、受講経験の有無で年間資産形成額に約15万円の差が生じ、60歳代時点での金融資産保有額に約500万円もの差が出ることも分かった。
今回の発表会では空き家問題に絡んだ遺産相続の新サービスも発表されたが、遺産相続に関して金融機関に相談を希望する人の割合も、金融教育の受講経験者のほうが高かった。
日本はデフレ社会からインフレ社会への転換期にあるので、何もしないままだと資産価値が下がっていくだけである。そうした中、資産形成に繋がる金融教育の重要性は今後ますます高まるというのが、発表の結論だった。
続いて、「空き家問題」に対応した新サービスの発表が行なわれた。現代の日本では、約20年間で空き家の数が約1.9倍になるなど、空き家が急増して大きな問題となっている。空き家が増える最大の原因は相続である。
地方で親世代が亡くなった際に、親が住んでいた家を子供が登記せず放置することから空き家が増えるのである。2024年4月1日からは相続登記が義務化されることもあり、三井住友信託銀行では、相続不動産の名義変更サービスを行なうという。
名義変更サービスは4月よりスタートする予定。株式会社エスクロー・エージェント・ジャパン信託(EAJ信託)と提携し、不動産の名義変更に悩む相続人をEAJ信託に紹介する。
相続人の事情に合わせて依頼手続きも選択できるシステムとなっている。