世界の子どもを支援する国際NGOワールド・ビジョンは、11日に声明を発表し、シリアへの越境支援を認める決議を延長しないという国連安全保障理事会の同日の決定に深い懸念を表明した。この決定は、シリア北西部に住む400万人以上の脆弱な人々にとって命綱である人道支援の実施に重大な影響を与えるものと思われる。
シリア北西部が激化する暴力と壊滅的な地震の余波に対応しているこの重要な時期に、国際社会の持続的な支援へのコミットメントは、これまで以上に重要です。ワールド・ビジョンは、私たちのような人道支援組織が、複雑で変化の激しい人道状況にあるシリア北西部の人々にとってきわめて重要で必要とされている長期的な支援を提供し続けることができるよう、安全保障理事会が再招集され、投票を再考することを謹んで要請します。
現在450万人近くの人々が住むシリア北西部は、過去12年間、絶え間ない紛争、恒常的な経済危機、コレラ蔓延の下にあり、今年2月に発生した大地震によって状況はさらに悪化しました。複合的な危機の結果、貧困ライン以下で生活する家族の数が急増しており、現在の推定では、人口の最大90%が貧困状態にあることが示されています。この状況により、約290万人が国内避難民となり、そのうち190万人が避難民キャンプに居住しています。
シリア北西部では、48%の人々が人道支援を必要としており、地震以降、そのニーズはよりいっそう高まっています。さらに、約330万人が食料不安を抱えており、栄養不良の割合も上昇しています。
ワールド・ビジョンは2013年からシリア北西部における活動を開始し、シリア、トルコ、ヨルダンにおける多面的な課題に取り組んできました。今年1月に安全保障理事会によるシリア越境支援の延長が決議されて以降、2023年だけで、シリア北西部に住む1,431,501人の人々に支援を届け、そのうち199,436人が女子、186,891人が男子でした。
地震後の心理的外傷は非常に深刻であり、多くの授乳中の母親が母乳育児を続けられなくなりました。人々の移動、食料不足と並んで、子どもや新生児の栄養状態の悪化は、この地域で栄養状況に深刻な影響を与えています。この事態に対応するために、ワールド・ビジョンとパートナー団体は、欠かすことのできない栄養分野の支援やサービスを継続的に提供してきました。それにもかかわらず、資金の増加と制限のない人道的アクセスの緊急性は、依然として重要な優先事項です。
ワールド・ビジョンのシリア対応ディレクターであるヨハン・ムーイは、次のように述べます。
「シリア北西部で食料不安と栄養不良が深刻化しているため、緊急かつ大規模な資金援助が必要です。ワールド・ビジョンのような組織が必要不可欠な栄養やその他の重要な支援を提供できるようにするためには、すべての地域へのアクセスを妨げられないようにするためのアドボカシーが最も重要です」
「シリア危機に対応するための国連の努力を評価する一方で、長期的にはより包括的な解決策が必要だと考えています。10年以上にわたる紛争や避難生活に耐えながらも、すべてのシリアの人々が安全で尊厳のある健康的な生活を送ることができるようにするための長期的な戦略を策定し、実施することが重要です。持続的な外交努力と政治的解決は、シリア全土で予測可能で原則に基づいた人道的アクセスを保証するために最も重要です。シリアの子どもたちの未来と生存は、これらの努力にかかっています」
「現在の危機は、複雑で継続的であり、その対応には私たちの一致団結した持続的な行動が求められます。したがって、私たちは国際社会に対し、子ども、女性、避難民に特に焦点を当て、シリアの脆弱な人々を支援し続けるために、議論のテーブルに再び集まり、投票を再考するよう求めます。私たちが共通の責任を果たすためには、今まで以上に、私たちの一致団結した行動が必要です」