7月10日(水)、東京都内にて株式会社エデンレッドジャパンが、「パート・アルバイト・契約社員にも『第3の賃上げ』を!」と銘打ったラウンドテーブルを開催した。

エデンレッドジャパンが展開する「チケットレストラン」は、食の福利厚生サービス。エデンレッドジャパンが契約した多くの飲食店やコンビニエンスストアにおいて利用可能で、会社がランチ代の半額を食事補助として負担するので、従業員は半額の料金を支払えばランチを楽しめる。

福利厚生の費用は一定の要件を満たせば経費として扱われ、原則非課税で社会保険料も軽減されるため従業員の実質手取りが増えるというのが、チケットレストランの大きなメリットだ。

このような福利厚生を活用した賃上げのことをエデンレッドジャパンは「第3の賃上げ」と呼び、スタートアップ企業や中小企業を含めた様々な企業に導入を呼びかけている。

今回のラウンドテーブルでは、多くの企業で賃上げしづらいとされている非正規雇用者にも第3の賃上げの導入を提案した。

ラウンドテーブルには、エデンレッドジャパンの天野総太郎代表取締役社長も登壇。天野社長は、同社に対して非正規雇用の従業員に関する相談が多く寄せられていると語った。

企業側は、非正規社員が「定着しない」「採用しづらい」「賃上げしづらい」といった悩みを抱えているという。

年収が一定額を超えると税金や社会保険料の負担が生じたり、配偶者特別控除が減らされたりするという、いわゆる「年収の壁」があることから、非正規従業員は働きたいのに働けない「働き控え」という事態が発生している。

こうした事態を背景として、年収の壁を越えずに実質手取りを増やせる第3の賃上げに注目が集まっているのだ。

天野社長は時給アップよりも第3の賃上げのほうが年収で約19万円手取りを増やせると紹介し、非正規雇用者にも第3の賃上げを活用してほしいと語った。

続いて登壇した求人サービスを運営する株式会社アルバイトタイムスの小堤慎介氏は、非正規雇用の現状について解説した。

小堤氏によると、人手不足解消のために多くの企業が給与を増額しているが、中小企業が賃上げした場合、企業側の人材に対する期待値が高くなって能力以上のことを求めた結果、人材が定着しないミスマッチも生じているという。

そうした現状をふまえて、通常の賃上げだけに頼らず、「この会社では長く働きたい」と思ってもらえる魅力を作ってそれを発信することが重要だと小堤氏は語った。

ラウンドテーブル内で行われたトークセッションには、第3の賃上げに賛同しチケットレストランを導入している企業3社、関西エアポートオペレーションサービス株式会社、株式会社サニクロ、ダイナミックマッププラットフォーム株式会社の担当者3名が参加。

人手不足という課題に対して、通常の賃上げだけでは他社との差別化が難しいが、「我が社にはこういう福利厚生サービスがある」というアピールは強みになると、各担当者たちは第3の賃上げの有効性を強調した。

終盤の質疑応答で、サービスのモバイル対応について聞かれたエデンレッドジャパンの天野社長は、年齢層の高いユーザーからは現状のカードが使いやすいという声もあるので、ハイブリッドな形でのサービスを考えていると回答した。