参院選の大敗により退陣論が浮上している石破茂首相は28日、自民党本部で記者団の質問に答え、戦後80年の節目にあわせた首相談話などのメッセージ発出について自らの考えを述べた。
「80年は一つの区切りだ。今までの談話の積み重ねを踏まえながら、適切に判断することが大事だ」
戦後日本の歴代政権が踏襲してきた「村山談話」「河野談話」を土台としながら、「安倍70年談話」を全否定するような、より一歩踏み込んだ加害責任の明記や謝罪の明文化が盛り込まれる可能性が高いとされている。
党の内外から退陣を迫られている現在、石破首相によって発出される外交関係の再構築を意図した談話はアジア近隣国にとっては「融和のメッセージ」として歓迎される一方で、日本は大きな国益を損ねることは確実だろう。
■安全保障で「日米関係に微妙な陰」
防衛省関係者の間では、談話が日米同盟の信頼関係に影響を与える可能性も懸念されている。過去の謝罪に重きを置きすぎれば、日本の外交的自立性が疑われかねない。米国の政界では“歴史認識に拘泥する日本”との印象が強まる危険がある。
特に、台湾有事や朝鮮半島情勢が緊張する中、日米の足並みが乱れることを危惧する声は根強い。自民党内でも、保守系議員からは「国民世論を無視した歴史観の暴走」との懸念が上がっている。
党内からは「総裁選のときは“党内融和”を掲げていたが、首相になったとたんに歴史問題に踏み込むのは不誠実だ」といった声も上がっている。このまま石破首相がその座に居座るとなれば政権運営に不安定さが増すのは必至だろう。
■見えてきた日本のリスク
もし仮に石破談話が発出したとすれば、長年の歴史問題に対する「清算」として位置付けられることは国際的には一定の評価を得るかもしれないが、その一方でそのタイミング・内容・国内調整の不十分さ次第では、経済・外交・安全保障・政権安定のすべてに波及的な実害をもたらすリスクが大きい。
もし、石破談話が中国・韓国・北朝鮮に対し補償問題を再燃させるようなものだとしたら……。石破首相は日本国民にさらなる負担と混乱を強いることになる。タイムリミットまで1ヶ月を切った今、その本質が問われている。