かつて冷戦期の東ドイツ時代に軍事的な理由で立ち入りが制限され、森林の一部では大規模な開発や通常の林業による影響が抑えられていたこともあって、ハイニッヒ国立公園に広がるブナの森は、人間の介入なしに現在の自然景観が形成されました。
巨大なブナの木々が広範囲にわたって生い茂り、倒れた老木が土へ還って次の命を支えることで、森全体がゆっくりと変化していく……。そうした森林の自然な循環と生き物たちが織りなす複雑な生態系を包括的に観察できるのが、古代ブナの森の大きな価値と言えるでしょう。
自然がそのままの姿で保たれているハイニッヒ国立公園ドイツ中部、テューリンゲン州のハイニッヒ一帯は、まとまった広さの落葉広葉樹林が残るエリアで、その南部の約75平方キロメートルが、1997年に国立公園に指定されました。
ハイニッヒ国立公園内には、絶滅危惧種の動物を含め、園内には約10,000種もの動植物が生息しています。古いブナの木の空洞や割れ目や節穴をのぞけば、ベヒシュタインコウモリやアカゲラなどの住処を見つけられるかもしれません。