小平奈緒選手(31/相沢病院)が18日の平昌五輪・スピードスケート女子500メートルにおいて、36秒94の五輪新記録で金メダルに輝いた。スピードスケート種目での金メダルは98年長野五輪の清水宏保選手以来、また女子では初めての快挙とあり、日本中が沸き立った。
だが、そんな小平選手の滑走に、思いもよらぬ”障害”が立ちふさがっていたことが明らかになり、物議をかもしている。19日放送の『ひるおび!』では、前日に金メダルを取った小平選手について特集したが、ここでスターターの号砲のタイミングの遅さについて検証がなされたのだ。番組によれば、第13組目までスターターの号砲のタイミングが3秒15から29の範囲だったの対して、小平選手の時のタイミングはそれより約1秒遅い「4秒15」だったという。
番組に出演した、冬季五輪3大会出場の元スピードスケートの勅使川原郁恵(39)も「タイミングが小平選手の時だけ遅れた感じ」「選手は前のレースのスタートのタイミングに合わせてウォーミングアップをする。スターターっていうのは人によってクセがある。(小平は)アレ?って思ったはず」と首を傾げていた。
これにはSNS上でも、疑惑を持つ人たちの声が噴出した。「すごく悪意を感じる」「明らかにタイミングを外されてるやん」「韓国のスターター、怪しすぎる! 機械に変えてほしい」「もはやスターター VS スケーターの戦いだよ」などと厳しい意見が上がっていた。だが「小平選手が勝ったからOK」と簡単には言えない。というのも、スピードスケートのスタートで問題になっているのはこの一件だけではないからだ。
19日の「スピードスケート女子団体追い抜き1回戦」において、高木美帆選手(23)が途中、なぜか身体を起こし、振り返る姿勢をとるハプニングがあった。高木選手が問題のアクションを起こしたのはスタート後7秒のタイミングで、謎の「待て!」の声にふり返っているとの説がある。高木はフライングをとられたと思ったようだが、結果、フライングはとられておらず。この時も幸い日本は準決勝進出を決めたものの、高木は「スタートの号令に合わせにくかった」と発言している。そして、佐藤綾乃選手(21)も「やっぱりスタートの長さっていうのが…どうしても感じてしまって。長かったからっていう理由ではないんですけど、最初のスタートで二三歩抜けてしまった」と反省の弁として述べている。
この”疑惑の号砲”を「結果オーライ」で済ませて良いものなのか。だが、小平選手は、2月19日放送の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)で「スタートの合図が遅かったように見えましたが…」と聞かれると、「遅く感じましたが、逆にあれで集中力が増した」と逆境を力に変える強さを見せていた。
「不可解なスターターに加え、悪天候や、宿泊施設での『お湯が出ない』などのトラブル、さらには関係者200人以上、選手2人の感染が確認されたノロウイルス。ここまで不利なコンディションにおいても、どの日本選手たちも不平ひとつ訴えず、世界中に笑顔を振りまき、フェアに戦っています」(平昌五輪事情に詳しい文筆家の但馬オサム氏)
小平選手を始めたとした各選手のこの姿勢こそ、メダルより”値千金”の誉れではないだろうか。