ベルント・ノトケは、聖ニコラス教会に展示されているタリンの中世美術の傑作「死のダンス」を描いた人物としても有名。

この主祭壇は1483年に制作された木製の祭壇で、中央部にはキリストが昇天した後、12使徒の上に聖霊が舞い降りたという「聖霊降臨」の場面が表現されています。

中央の聖母マリアと12使徒の視線が上を向いているのは、彼らの視線が聖霊の象徴である見えないハトに注がれているから。今にも動き出しそうな彫像は、目を見張るほど表情豊かで色彩に富んでいます。

エストニア最古の説教壇のひとつに数えられる、1597年に造られた説教壇も見もの。

宗教改革期の破壊を逃れた貴重な芸術作品が残っているのに加え、この教会はタリンおよびエストニアの歴史においてとても重要な意味をもっています。

宗教改革以前、タリンの教会での礼拝はドイツ語で行われていましたが、宗教改革後、はじめてエストニア語で説教が行われたのがこの聖霊教会であり、現存する最古のエストニアの本は1535年にここで翻訳されたのです。

観光スポットとなった今も、ひときわ歴史の重みを感じさせるタリンの聖霊教会。こぢんまりとした空間でありながら、一度足を踏み入れれば忘れがたい静謐な空気に包まれます。

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