天皇・皇后両陛下が日本最西端の与那国島で「戦前まで日本領土だった台湾の方向に見つめられ、110km距離に想いを馳せられた」というニュースが台湾の放送局『三立電視』で報じられ、多くの台湾人が涙し、さらにそれをネット上で伝え聞いた日本人の多くが胸を熱くしている。

天皇・皇后両陛下は3月27日、沖縄県を訪問して糸満市・国立沖縄戦没者墓苑でご供花され、先の大戦の戦没者を慰霊された。今回の沖縄訪問は2泊3日で約4500kmの行程で、皇太子同妃時代を含め沖縄をお訪ねになるのは11回目。両陛下は28日、沖縄からさらに520km、与那国島に初めて足を運ばれた。そして、同島の最西端・西崎の碑で「この場所からおよそ110km離れた台湾が1年に5回ほど見えます」との説明をお受けになると、両陛下は遥か水平線の彼方をじっとご覧になっていたのだという。

かつて日本人だった人たちが住む地、台湾。国民の幸せを等しくお祈りくださる、両陛下はいかなる思いで、うす靄の中の台湾を見つめておられたのか。国交がないこともあり、両陛下の台湾訪問は叶っていない。だが、両陛下に台湾への強く気にかけていらっしゃることは察せられる。

陛下は16年3月、千代田区・霞会館で行われた学習院初等科のクラス会でも奥日光でともに疎開し、机を並べた台湾人の元同級生に「日本をどう思っているか」と何度もお尋ねになっていたという。皇后陛下も17年04月20日に行われた春の園遊会で台湾の卓球選手・江宏傑さんと結婚した福原愛選手(29)に「台湾はずいぶん(東日本)大震災の時などに心を寄せてくださったから、関係の方にお礼を伝えてください」と感謝の言葉をかけられておられる。

台湾人であれ、日本人であれ「ご在位中の最後の旅」となる沖縄訪問で、あえて与那国島に足を運ばれた「意味」に思いを巡らせずにはいられない。 

■沖縄の日の丸歓迎も万歳も報じないNHK

そんな両陛下の行動を我が国の公共放送『NHK』が報じることはなかったとの情報がネット上では拡散されている。Twitter上で日本への留学経験を持つ「☆Chris*台湾人☆」さんが「両陛下初めて与那国島訪問 #NHK の放送に本当に違和感!」「両陛下は日本最西端から台湾の方向に向けずっと見つめておられたことに触らなかった。正常な報道と錯覚するが、実は日の丸と台湾に対しわざと無視してる」とつぶやき、NHKには非難が集中した。

たしかにNHKのニュースアーカイブの動画では「台湾」の下りに触れているものはない。だが、編集部の調査によれば、28日放送の『ニュースウオッチ9』では「陛下が(台湾が見えるという)海を見つめていた」という話は放送されているゆえ、すべての番組に偏向があったわけではなかったことは付記しておきたい。

しかし、陛下の沖縄訪問をめぐるNHKの報道の問題はそれだけではなかった。両陛下が沖縄・那覇を訪問している際に、じつは4000人を越す県民が日の丸を持って行幸をお出迎えしたにもかかわらず、NHKのニュース映像には極力日の丸が映らないようなアングルであったこともネット上では話題となっている。こちらも、前出「☆Chris*台湾人☆」が台湾のテレビで万来の観衆たちが日の丸を手に万歳する姿が公開され、NHKのフィルターが映す歪んだ「沖縄」が明らかになっている。

我ら視聴者は、陛下の御心を間違ってご推察せぬよう、メディア報道を見極めなければならない。

Japan's Emperor Akihito (L) makes a speech next to Empress Michiko during a public appearance for New Year celebrations at the Imperial Palace in Tokyo, Japan, January 2, 2018. REUTERS/Toru Hanai (Japan)