週末の東京・永田町、国会議事堂前に安倍政権の退陣を求める「市民」らが集結。マイクを手に「あたりまえの政治を」などと叫ぶ、おなじみの光景が14日、繰り広げられた。だが、朝日・毎日・東京・中日と大手新聞に特大広告を打ち、「大行動」とか「大集合」「総がかり」などと呼びかけていた割に、どうも前回の安保法案反対デモと比べ、参加者数が伸び悩んでいたのではないかと話題となっている。

同デモは14日の14時からスタート、今にも降り出しそうな空模様にもめげず、参加者たちは「捏造、隠蔽、許さない」などと書かれたプラカードを掲げ、高らかに「アベやめろ!」と抗議のコールをあげた。ネット時代を反映して、リアルタイムでソーシャルメディアに映し出される現地の盛り上がり。たしかに、大変な賑わいである。

スピーチに立った、共産党・志位和夫委員長(63)は「安倍政権は即刻退陣。市民と野党の共闘で、うそのない政治を取り戻そう」と呼びかけ、立憲民主党・長妻昭代表代行(57)も「政府・与党が本当に真相究明をしたいと思えば、森友、加計問題は1カ月あれば全部真相究明できる」と訴えた。主催者発表によれば、参加者は午後5時までに約3万人にのぼる(主催者発表)ともされた。

だが、朝日新聞が広い国会前の道路を空撮した写真を配信すると、動員人数を疑問視する声が広がり始めている。写真は集まった市民たちを、国会議事堂の本館中央塔を挟んで向こう側から撮ったもの。一見すると「全学連」などの横断幕を持った大勢の市民が集まっているように見えるが、たとえば同規模と思われる東京ドーム(野球観戦時46,000人)の観客と比較すると明らかに規模や密度が疎ら……。さらに15年9月に行われた安保反対デモ(主催者発表12万人、警察関係者3万人)で撮影された同アングルの写真と比較しても違いは歴然だった。

これにはソーシャルメディア上でも「オカンのカルピスより薄い、水増し人数発表だな」「AKBのコンサートと比べるとスッカスカに見える」「公称600万部の朝日にデカデカと意見広告を打ってこんだけ?」などと、主催者発表を疑う声が続出した。中には「警察発表4,000人」とする声も広まっていたが、こちらはデマであることは明記したい。警視庁広報室は「主催者側との人数の違いが問題になるのでデモなどについて警察として公式な”発表”はしていない」と明言している。それゆえ、よく新聞社などが発表している「警察」の数字もあくまで「関係者」による数字だと考えなければならない。ともあれ4,000人という数字がリアリティを持ってしまう、空撮写真だったことは確かである。

■バリケード突破は法令違反?鉄柵を倒し破って歓声を上げる民主主義者たち

しかし、そんな盛り上がりをみせた国会前デモだが、法令違反ではないかと警鐘を鳴らす声もある。今回、デモの規模が大きかったため、当初は警察もバリケードを作って道路を封鎖していた。それを暴徒と化した参加者たちが壊してなだれ込むように侵入していたのである。これは「道路交通法77条」および「集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例(東京都)」「国会議事堂等周辺地域及び外国公館等周辺地域の静穏の保持に関する法律」に違反するようなのだ。

Twitterに投稿された映像は、これが日本かと目を疑う光景。押し合いへし合い、警官や警備員を突き飛ばし、大喜びで笑い声をあげながら、国会前へとなだれ込む自称・市民たち。一歩間違えば将棋倒しの惨事である。これを日本語では「暴徒」と呼ぶのではないのか。

さらに元SEALDsの奥田愛基氏(25)がリズムに合わせ「いけいけ、GOGO」などとコールして煽り、「決壊」が突破されたことを朝日新聞の谷津憲郎記者はTwitterで嬉々として伝える始末。案の定、逮捕者も出ており、参加していた30代の男が、機動隊員への公務執行妨害容疑で現行犯で捕まっている。男はバリケードを乗り越えて車道に出た際に、止めようとした機動隊員の胸部を押したのだという。これが民主主義者たちの望む「まっとう」なのだろうか。

かの隣国ならば戦車が出動し、踏みつぶしただろうか。逮捕も懲罰もない、日本の自由に胡座をかいた上で、絶対に反撃してこない政権や警官・機動隊員には声高に汚い言葉を浴びせる。まるで、言い返してこないファミレス店員にだけ強気に振る舞う、街のチンピラである。

ともあれ、デモの参加者が額面どおり5万人であったとしても、それは1億2,670万6000人の日本から見れば「世論」になりえないことを忘れてはならない。結局、選挙に勝てないからデモ、政権交代を望めないからモリカケをやっているようにしか見えないのだ。彼らが真に民主主義を望むのであれば「アベ退陣」ではなく「解散総選挙」を要求し、民意を確かめるべきなのではないだろうか。