ロンドン中心部、広大なケンジントン・ガーデンズのなかにたたずむケンジントン宮殿は、現役のロイヤル・ファミリーの居城。
1760年に王宮がバッキンガム宮殿に移るまでは歴代の王の居城として使われ、かつてはヴィクトリア女王やダイアナ妃、チャールズ皇太子がここで暮らしていました。
現在は、ウィリアム王子とキャサリン妃のロンドンでの住まいとなっています。
ロイヤル・ファミリーの宮殿にしてはやや質素にも見えるのは、かつてここが「ノッティンガム・ハウス」と呼ばれるノッティンガム伯爵の私邸だったため。この宮殿を買い取ったウィリアム3世とその妃メアリー2世が1689年にここに移り住んだことが、王宮としてのケンジントン宮殿の歴史のはじまりです。
現役のロイヤル・ファミリーの住まいでありながら、一部は博物館として公開されていて、英国王室の華麗なる歴史をたどることができます。
・KING’S State Apartments
いくつかのテーマに沿って展示が行われているケンジントン宮殿。一般に公開されているエリアのうち、もっとも豪華な空間の数々が見られるのが、1700年代のジョージ2世の輝かしい時代を再現した「KING’S State Apartments」です。
当時、ケンジントン宮殿の訪問者は「国王の階段」を通って上階にある謁見の間へと進みました。階段横の壁には、柱や人物、動物などさまざまなモチーフが描かれていて、空間をより豪華に立体的に見せるだまし絵の手法が採られています。
この階段を上るとき、まるで自分が大勢の観衆の注目を浴びているようで誇らしい気分になるかもしれません。
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