ヴァルトブルク城のなかでも特に大きく、壮麗な印象を与える部屋が「祝宴の間」。19世紀の再建で現在の姿になったこの部屋は、当時の人々から見た「中世の広間はこうあるべき」という理想を表しています。
バイエルン王ルートヴィヒ2世は、この広間に感銘を受け、ノイシュバンシュタイン城にこの祝宴の間を模した「歌人の間」を造らせました。
優れた音響効果をもつこの部屋は、現在もコンサートや文化催しの会場として使われています。
・ルターの部屋
1521年のヴォルムス帝国議会で破門された宗教改革者のルターは、ヴァルトブルク城に身を隠し、およそ10ヵ月間をこの部屋で過ごしました。
当時は聖職者や貴族にしか読めなかった聖書を庶民にもわかる言葉に翻訳すべく、彼はここで新約聖書のドイツ語訳を完成させたのです。この翻訳は「ドイツ民族の第一の書物」とみなされるまでになり、その後のドイツ語の発展に大きく貢献しました。
この簡素な部屋には、厳しい状況に置かれながらも偉業を成し遂げたルターの情熱が生き続けているかのようです。
ただその姿を目の当たりにするだけでも圧倒されるヴァルトブルク城ですが、900年を超えるその歴史を知って見れば感激もひとしお。
ヴァルトブルク城は、「ドイツで最もドイツらしい城」といえるのではないでしょうか。
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