先日、朝日新聞がHPVワクチンに関する報道で不思議なタイトルをつけているというので、ネットの医療クラスタが「また朝日新聞か」と盛り上がっていました。
確かに、この朝日新聞のタイトルをそのまま読みますと、子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)自体の論文が不適切だった、という風に読めてしまうのは事実であります。
しかし、この記事の内容はHPVワクチンについて中島利博東京医大教授が否定的な見解を示す論文が、不適切だから撤回されたというものです。百日ぜきの毒素をワクチンと一緒に投じたマウスによる比較実験が不適切だという内容で、HPVワクチンの有効性を否定しようと思ったら、その実験内容に疑義がついて撤回されたわけですから、つまりHPVワクチンは有効だ、という意味になります。
HPVワクチンの論文撤回 英科学誌「不適切な方法」(朝日新聞デジタル )
https://www.asahi.com/articles/ASL5D7J3ZL5DULBJ00D.html
実際、ネット民からしますと、折からの「反HPVワクチンをずっとキャンペーンしてきた日本の大マスコミは、すでに健康への悪影響が無いとほぼ断言できる状況のHPVワクチンに対して好意的に報道することはない」という論調が目立ちます。
HPVワクチンの論文撤回 英科学誌「不適切な方法」
https://twitter.com/asahi/status/995618676463173633
HPVワクチンの論文撤回 英科学誌「不適切な方法」 https://t.co/Npb5JYRY9r
— 朝日新聞(asahi shimbun) (@asahi) 2018年5月13日
https://twitter.com/io302/status/995628016226062342
さすが朝日新聞、HPVワクチンが撤回されたかのようなタイトルをつけましたね。御社の悔しい気持ちがよく伝わるタイトルです。印象操作は成功しましたか? https://t.co/cvjSbU9ueB
— io302 (@io302) 2018年5月13日
[引用] さすが朝日新聞、HPVワクチンが撤回されたかのようなタイトルをつけましたね。御社の悔しい気持ちがよく伝わるタイトルです。印象操作は成功しましたか?
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ところが、記事を並べてみてみると、実のところ毎日新聞や産経新聞すらも、知らずにタイトルだけ読むとイギリスの科学誌がHPVワクチンの有効性についての論文を撤回させたように読めなくもありません。
英科学誌 HPVワクチン論文を撤回 「手法が不適切」(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20180513/k00/00m/040/024000c
英誌、東京医大の論文撤回 子宮頸がんワクチン研究(産経新聞)
https://www.sankei.com/life/news/180513/lif1805130042-n1.html
繰り返しますが、手法が不適切だとして撤回されたのは、HPVワクチンの接種によって脳の異常や運動機能障害といった副作用が起きる可能性を検証した論文であって、HPVワクチンの有効性を調査したものではありません。
もちろん、記事の中身をよく読めば「ああ、ワクチンの有効性を否定している論文ではないのだな」と理解できます。ただ、ヘッドラインだけを見ると、私でさえ「えっ、HPVワクチンの有効性を検証した論文が不適切だったの?」と思ってしまいます。
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