こんにちは、中国人漫画家の孫向文です。
2015年の新語・流行語大賞に「爆買い」という言葉が入賞し、訪日中国人の観光客を形容する言葉としてポピュラーになりました。しかし、2016年に入ると、その「爆買い」は一転、一人当たりの消費が減少してきました。いったい、何が起こっているのでしょうか。
中国人訪日客:爆買いに変化…消費減少続く https://t.co/zsskLeNFJC
— 毎日新聞ニュース速報 (@mainichijpnews) 2016年10月19日
2018年6月1日の中国共産党機関紙・環球時報によると、フランスのテレビ第二局が中国人観光団体による、ルーブル美術館の入場券のシステムを悪用する行為が横行している現状を報道しています。
【一枚のチケットで七人も入場?もはや詐欺!フランス人に中国人からの観光収入が入らない(原文は中国語)】
http://world.huanqiu.com/exclusive/2018-06/12137456.html
2018年6月1日 環球時報
ルーブル美術館の入場システムは、当日であれば再入場が何度でも可能です。さらに、入場券に使用済みの印をつけないので、ここに中国人が目をつけてしまったのです。その手口は、最初に100人以上の観光客を入場させた後に、その入場券を別の団体客に渡して入場させ、さらに同様の手口で次の団体も入場させる、といったものです。
このような手口を繰り返し、わずか100枚弱の入場券で、一日に1000人をも超える中国人がルーブル美術館で鑑賞させるという悪行を成し遂げています。もしかしたら、中国人観光客たち自身は、このような手口によって入場していることを知らず、中国の旅行会社がこの「ズル」を繰り返すことでコストダウンを図っていることも、大いに考えられます。
この中国人の「ズル」によって、ルーブル美術館では1年間で100万ユーロの損失を計上しました。追い打ちをかけるように、館内は中国人で溢れかえり、とても美術館賞をする雰囲気ではない、というイメージダウンにまで陥ったのです。
現在、この入場システムは再検討されていますが、そのせいで今度は、中国人以外の観光客や現地のフランス人まで再入場ができなくなる「巻き添え」を食らう羽目になりました。中国人が自由な民主主義国家の自由な制度を利用し、「破壊」すると、関係のない第三者まで被害が及んでしまうのです。
欧州の多くの観光地には、さらに緩い入場制度のある美術館や博物館があります。例を挙げると、一か月の期間入場回数無制限のもの、さらには三か月以内有効のものもあります。そのような制度を悪用する中国人たちは、民主主義国家の観光施設に経営破たんの危機をもたらしうる、招かれざる客の「バッタ災害」のようです。
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